この記事では、自家採種のため栽培中に行う「系統選抜」について紹介します。(海老芋18)

良い種芋の確保は、前年の栽培中に始まります
「海老芋」の増収や秀品率向上を図るには、良い種芋の確保が必用ですから、収穫後に「形や状態が良い芋」を選び、適切に貯蔵することが大切です。
しかし、良い種芋を得るための作業は栽培中にも行います。この記事では「栽培中に行うべき採種のための作業」について紹介します。
なお、収穫後の「種芋選別」については別記事を考えています。
「唐の芋」を自家採種する時はウイルス病などの「病害感染」に気をつければよいだけですが、「海老芋」として使用する場合は違います。
「病害感染」に気をつけるだけでなく、「海老芋向きの特性」にも注意を向ける必要があります。そのため、栽培中に株ごとの特性を観察し「好ましい株だけから採種」します。これを「系統選抜」といいます。
悪い株から採種しない
悪い株とは「病気・生理障害が出ている株」と「遺伝する悪い特性を持っている株」のことです。前年の栽培中に悪い株を見つけ、その株から採種しないようにする作業が必要となります。
悪い株(1) 病気・生理障害が出ている株からは採種しない
①株を抜き取り廃棄する株
●モザイク葉(ウイルス病)が出た株は、栽培中に他の株への感染源にもなるので廃棄する
株が大きくなってから感染した場合はモザイク症状が出ないため、廃棄をあきらめる
②使用時に注意するよう印を付けておく株
●疫病に感染した株は、病原菌が芋に付着しているので、種子消毒してから使用する
●軟腐病に感染した株は、病原菌が芋内部に侵入しているので採種しない
●乾燥害(葉枯れなど)がひどく出ると、芋に芽つぶれ症が発生しやすいの採種候補にしない
悪い株(2) 悪い特性は遺伝するので採種しない
①採種しないよう目印を付けておく株(出荷は可能)
●親がとても大きくなっている株は「子芋が小さくなる」悪い特性を持っている
●子茎の数が少ない株は「子芋が少なくなる」悪い特性を持っている
●親茎の近くから子茎が出ている株は「セミが多くなる」悪い特性を持っている
良い特性を持つ株を見つけたら積極的にマーキング
良い株 良い特性は遺伝するので積極的に採種する(系統選抜)
①~③を併せ持った株が採種に最適な株なので、目印(棒など)を付けておく
①生育が早い株
②太い子茎が、5本以上立っている株
③太い子茎が、親茎から遠く(15cm以上)離れている株
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まとめ
採種できない株は、「ウイルス病に感染した株」「軟腐病に感染した株」「目つぶれ症が発生しやすい株」「親芋だけがとても大きくなる株」「子芋の数が少ない株」「セミになりやすい株」です。「生育が早い」「太い子芋の茎が5本以上ある」「太い子芋の茎が親芋から遠く離れている」という3つの性質を併せ持つ株には印を付けておき、積極的に採種します。
“Kyoto vegetable [Ebi-imo cultivation method] Even with home seed collection, perform line selection and mark superior seed plants.”
Plants unsuitable for seed collection include those infected with viral diseases, those affected by soft rot, those prone to developing blind bud disorder, plants with only an oversized parent tuber, those producing few daughter tubers, and those likely to become semi-dormant. Plants that exhibit all three traits—early growth, having more than five thick stems from daughter tubers, and thick daughter tuber stems positioned far from the parent tuber—should be marked and actively selected for seed collection.