京 夏ずきん

京野菜【京 夏ずきんの栽培方法】小売りで発生する黒カビ・え?洗ってるの?

この記事では、最近発生が増えている小売り段階での「黒カビ」発生について説明しています。(京夏ずきん01)

え?1回って種子消毒のことなの?

 「京 夏ずきん」は、「紫ずきん」に次いで認証された黒大豆枝豆の「京のブランド産品」です。「紫ずきん」は「黒豆の枝豆」を売りに秋の需要を開拓するため送り出された新品種ですが、「京 夏ずきん」は梅雨明けからお盆までの高値を狙いガチで参入するため開発された品種で、好調な売れ行きとなっています。(なおその前には「父の日の食べられる花束」をめざす「黒愛菜」があります)
 なお細かい話ですが「京 夏ずきん」の「京と夏の間には半角スペース」が入ります。

*参考「真夏の新しい丹波黒大豆エダマメ『京 夏ずきん』の育成」京都府農林センター
*参考「産地紹介 黒愛菜」全農京都

 ところが、最近スーパーの売り場で、この「京夏ずきん」が袋の中で黒いカビを発生させていることを見かけるようになりました。
 この「黒カビ」の原因は「炭疽病」や「赤カビ病」ですが、これらの予防防除は栽培中に行っているはずです。そもそも、カビの生えたものは出荷なんてしません。

下の写真は、上:炭疽病、下:赤カビ病

 ではなぜ出荷後に発生したのでしょうか。生育後半に圃場で感染する原因があるはずですが、いくつかの現場で聞いてみても「病気の防除は1回している」とのこと。

 ところが、よく聞いてみると、黒カビを出していな産地が「開花期に予防防除してるけど、出たらまずいので収穫前に仕上防除もいるのかなあ」に対し、出した産地では「種子消毒してるのになんでかなあ」でした。
 圃場でやってないなら出て当たり前でしょ。ていうか種子消毒の対象病害も違うでしょ。

 というわけで、今では「開花期に予防防除+収穫前に降雨予想なら仕上防除」となっているはずなのでクレームは来ないと思います。が、袋の中の露が気になるなあ・・・

え?みんな洗ってるの?

 京野菜の黒大豆枝豆は「洗わず袋詰め」するため、どうしても出荷後の袋内に露が浮いてしまいます。そこで取られた策が、コストが高いのでどこも使っていなかった「防曇袋」導入の英断です。
 他県の枝豆で露が浮いていないのは「莢の毛が無くなるまでしっかり洗った後しっかり乾燥」させているらしい。ならば「洗わないので莢に毛が生えてるでしょ、だから圧倒的に新鮮、毛を取るため洗うのが大変?手間をかけて美味しく食べるのが京野菜です」という市場への売り込みは「さすが京野菜ですなあ」の高評価(祇園では1莢50円)につながりました。

 もちろん「京 夏ずきん」でも「防曇袋」を使用しているため、袋内に露が浮くのを抑えているはずです。しかし、どうみても露のある商品を見かけます。

 なので農機具メーカーに聞いてみたら「京都府以外では洗ってるので、水分を飛ばす機械も売れてます」とのこと。
 京都府は洗っていないらしいが、念のため黒カビ出した産地に聞いてみてびっくり。「今は洗ってるよ、だいいち指導資料に洗えって書いてるよ」とのこと。ダメだこりゃ。しかし、黒カビ出していない「〇後」に聞いたら「失礼な、洗うわけないでしょ」

 というわけで「京夏 ずきん」の現場は少しずつ乱れかけているようで悲しいです。なので「京 夏ずきん」買うなら「莢に毛のある〇後産」をお勧めします。(袋にトレーサビリティ用のQRコードがついています)

*参考「野菜づくり機械化便利帳 えだまめ」クボタ

まとめ

 「京 夏ずきん」で最近問題となっている出荷後に発生する「黒カビ」は一部産地の技術レベル低下が原因でした。一部産地で行われていた「種子消毒しかしない」と「莢を洗う」が発生原因と考えられ、今後の改善を期待したいです。

“Kyoto vegetables [Kyō Natsuzukin cultivation method] – Black mold occurring in retail – Wait, are you washing them?”

The recent issue of black mold developing after shipment of ‘Kyō Natsuzukin’ is believed to be caused by a decline in technical standards in certain production areas. The practices of ‘only disinfecting seeds’ and ‘washing the pods,’ which were seen in some of these areas, are thought to be contributing factors. We hope to see improvements going forward.