
浅まきは✕、深まきが○
4つ目は「播種深度」です。
京野菜ブランドの水菜の播種方法は「シーダーテープ」が基本ですが、最近増え続けているのが「ごんべえ」や「コンビシーダー」を使用する方です。いやもうこれはダメでしょう。
なぜダメかというと、そんなまき方では季節に合わせた「播種量」「播種深度」「条間」の調整ができないからです。
「播種量」というのは「1粒まき」ができるかということで、「ごんべえ」には無理です。なぜ「1粒まき」するかというと、2粒以上だと「間引く手間がかかる」から。
もともとの栽培指針には間引きが載っていません。だからといって勝手に「ごんべえ」に変えても間引きが必要ないなんて都合のいい解釈はダメです。
「夏は栽植密度を下げる」ことが大切ですが、間引かないと「密植となり徒長する」からです。今回の話題は発芽不良ですが、発芽後の徒長は見過ごせません。
徒長すると株が張らないうちに長くなり、袋の「入り数」(袋に入っている株数、京都産は8~20株が良しとされる)が増え過ぎてまいます。
こんな商品は「細すぎて使い勝手が悪い」だけでなく、1袋に基準より多く株を入れなければならないので「出荷量(袋数)」が低下してしまいます。
なので「ごんべえ」は使いません。
ただしここまで書いておいてなんですが、夏の発芽不良に関しては良い能力があります。それは「ごんべえ」には「浅まき」ができないこと。言いかえると「深まき」になることです。
「夏は深まき」が基本技術となっています。夏に「浅まき」すると、播種位置の地温がとんでもなく高くなるので「発芽(発根のこと)してもすぐ根が焼ける」からです。その点では「ごんべえ」は良い機材と言えます。
しかしお勧めしないのは、もう一つの基本技術「冬は浅まき」ができないからです。テープシーダーならどちらの「播種深度」も対応しているのにね。
「コンビシーダー」は、「1粒まき」が可能で、「浅まき」「深まき」どちらもできる良い機械ですが、「条間」を簡単に変えられないことが欠点です。
水菜の基本技術「季節により条間を変える」に対応しきれていないから。
夏は徒長を避けるため栽植密度を下げますが、その方法は「株間を広げる」ではなく「条間を広く取る」が基本です。
播種間隔を開けて(株間を広くして)対応しようとする方がありますが、「その根拠は何ですか?」。
京都府で周年水菜の研究が始まった時の前提条件は「シーダーテープに7cm封入し条間で季節に対応する」です。そのデータの蓄積や現地試験データは豊富にありますが、株間を変えるなんて試験データはありません。それをわかって技術変更を行っているのでしょうか。
なお「シーダーテープ」が嫌われる原因は、多分コストが気になってしようがないからだと思います。
「シーダーテープ」に加工すると、手間賃だけでなく市販種子なのに封入量が3割くらい減るからでしょう。
色彩選別機を通して発芽率良好な種を再選別するからですが、しかしそれは言いがかりというもの。そのコストのおかげで「間引く手間がはぶける」のですから。
Kyoto Vegetables: How to Grow Mizuna — 4 Causes of Poor Summer Germination
Before Blaming the Variety: Part 3 – Shallow Sowing
This article explains four key causes of poor germination during summer.
Lately, there’s been growing discussion around the need for “new summer-specific varieties.” However, it’s important to clarify that this demand is primarily aimed at improving the quality of summer harvests—not at solving germination issues.
Skilled farmers are still able to achieve successful germination, even in summer conditions.
