海老芋

京野菜【海老芋】種芋の貯蔵②選んではいけない悪い芋とは(その4)

 このシリーズでは、来年度の栽培の出発点となる種芋の貯蔵について、気をつけるべき3つのポイントを紹介します。今回は、選んではいけない悪い芋の4回目です。(海老芋37)

「芽つぶれ症」の芋は除く

●「芽つぶれ症」で頂芽が無くなった芋は✕

 葉が枯れてしまうようないい加減な夏期潅水を行うと乾燥害が発生します。吸水量が激減する状態なので、水で供給されるカルシウムが株全体にいきわたらなくなり、カルシウム欠乏が発生します。

 カルシウム欠乏が深刻になると、生理障害「芽つぶれ症」が発生しやすくなります。この障害は、芋の頂芽が欠損するため頂部が陥没したようになります。

 この生理障害が発生するのは、子芋(海老芋)ではなくこえびちゃん(孫芋・ひ孫芋)です。盛夏期には、子芋の芽は生長し茎葉がすでに育っていますから、その後にできてくる孫芋・ひ孫芋に発生するわけです。

 ところが孫芋・ひ孫芋は種芋候補ですから、芽つぶれ症が発生すると頂芽が欠損します。頂芽の痛みどころか頂芽そのものが無くなってしまうので、必ずわき芽が発生するため種芋になりません。

 高単価の海老芋ではなくこえびちゃんの減収なので、その年の収益に大した影響はないかもしれません。
 しかし、次年度の種芋不足が発生するため、臨時の種芋購入による種苗費が発生し経費に大きく影響してしまいます。

 一番効果的な対策は、応急処置としてはJAや部会に連絡して余剰種芋をまわしてもらうことですが、気持ちが落ち着いたら「夏の潅水パターン」を反省しましょう。

「頂芽の形」を見る

●悪い頂芽は老化苗の元

 前回の記事で紹介したように、一般的に言われることの多い「種芋の重さが大事」は、実はあまり意味がありません。

 確かに芽が伸長して苗になるには、種芋の栄養分が必要でしょう。しかし、それは「いつまで」なのでしょうか。「苗が完成するまで必要」だと勘違いしていませんか。

 そんなことはありません。種芋からは、芽だけでなく「根も伸長」していきます。根が出てくるということは、種芋に依存せず水分+養分を吸収できるようになるということです。
 それを見越して、育苗培土に肥料分を入れているのではありませんか。

 ということは、種芋は根が伸びだすまでの養分さえ供給できれば良いと言えるわけです。では、根はいつ頃伸びだすのでしょうか。
 苗をの動きをよく観察すると、まず芽が伸びだしますが「1枚目の葉が開く前に発根」が始まります。

 伸びていく芽の基部が膨らみ始め、そこから発根していますね。この膨らみは、将来親芋になる部分で、そこから発根します。けっして種芋から発根しているわけではありません。
 ということは、育苗初期には発根するわけなので、「種芋の役割は育苗初期まで」と言えるでしょう。

 そうなると、育苗に大事なのは「良好な頂芽を持つ種芋」を使用し、芽の基部を早く膨らませて発根させ、早く培土の養分を吸えるようにする、ことと言えます。
 苗に早く養分供給が始まることで、定植日に遅れず苗を完成させることができますから。

 定植に好適な苗を成苗と言います。成苗の条件は「葉が2~3枚展開した苗」とよく言われますが、もう一つ大切な条件があります。
 それは「根鉢ができすぎていない」ことです。このような状態の苗を「老化苗」といいます。

 育苗中盤に育苗鉢から株をスポッと抜いてみると、鉢に沿って根が張り始めています。これを根鉢といいます。
 さらに時間がたつと育苗培土を包み込むカゴのように根が張ります。こうなった時が「定植に最適な根鉢」の状態です。「老化苗」とは、この状態からさらに根が張ってしまった苗のことです。
 老化苗は根が固く締まっているため、定植しても根が圃場に伸びにくく活着が悪くなります。活着を良くして初期生育を稼ぐには、老化苗を植えないことが大切です。

 ところが、この老化苗の根鉢状態は、葉の枚数とはあまりリンクしていません。どちらかというと育苗日数が関わっていることが多くあります。(そのためベテラン農家は育苗期間を3週間程度にとどめています)

 つまり、育苗期間を延長させず定植することが必要ですから、「良い頂芽を持つ種芋」を使用し計画どおり成苗に仕上ることが大切になってくるわけです。

 下の写真は、催芽処理で良好な頂芽を発生させた種芋です。このような種芋を準備したいですね。

 この項が終わらなかったので、次回に続きます。

“Kyoto Vegetables – Ebi-imo: Seed Tuber Storage (Part 2)
What Kind of Bad Tubers Should Not Be Selected? (Section 4)”

In this series, we introduce three key points to keep in mind when storing seed tubers—the starting point for next year’s cultivation. This installment is the fourth part of the section on tubers that should not be selected.