海老芋

京野菜【海老芋の栽培方法】トンネルは防霜だけじゃない・活着促進の必須技術

この記事では、海老芋の初期生育を促進させる技術「トンネル被覆」について説明します。(海老芋08)

早期活着は多収への第一歩

 苗を定植しただけでは「圃場での生育」が始まったことにはならず、生育日数のカウント外です。これは「活着してからが生育期間」だからです。
 「活着」というのは根鉢内の根が圃場内に伸びていくことです。定植後は「苗を埋めただけ」なので、根は育苗培土の中でぐるぐるしている状態です。これを外に向かわせなければいけません。

 ここでやってはいけないのは「根鉢をほぐして定植」することです。
 ポット育苗が行われていない昭和の頃は、地床育苗して種芋を掘り出し定植していましたが、そのコツは「曇りの日」に根を痛めないようにそっとあつかうことでした。
 それくらい海老芋の根はデリケートなのです。

 苗は根鉢のまま埋めこみます。その後は、苗が自分の力で根を伸ばし活着するのをまちます。ここで「促進のための手助け」を行ったかどうかで、その後の生育だけでなく収量にも大きな差が出てきます。

*参考「早植えトンネル栽培によるエビイモの増収技術」京都府農業総合研究所(現農林センター)
*参考「農業用不織布パオパオ90」MKVアドバンス

4つの効果で活着促進

 そこでトンネル被覆が活きてきます。トンネル被覆の効果は防霜だけではなく、次の4つの効果もプラスされます。
⓪(霜害防止)
①保温
 これは本来の使い方なので当然効果があります。
 トンネル内の気温を計ってみた方によれば「昼間なら5℃くらいは外より高い」そうです。
②防風
 春は意外と風の強い日があります。葉が痛むと、枚数が少ないうちは生育に影響します。
③乾燥防止
 「トンネル被覆するから潅水できないんじゃないか」は間違いです。
 まだ春ですから乾燥は温度より風で高まります。防風効果で「乾燥を防げる」が正解です。
 まあそもそも潅水はご法度ですが。
④地温上昇
 防風効果で「気化熱で地温が下がる」のも防げます。
 地温が高いと根の伸長が促進されます。これは活着に一番効きます。

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まとめ

 トンネル被覆は、防霜だけでなく活着促進の効果もあり初期生育が良くなります。海老芋の収量だけでなく秀品率も初期生育の良し悪しで決まります。トンネルはぜひ行いましょう。

Tunnels are not just for frost protection—they are an essential technique for promoting root establishment. (Ebiimo 08)

Tunnel covering not only protects against frost but also promotes plant establishment, leading to improved early growth. The yield and percentage of high-quality Ebiimo are largely determined by the success of early growth. Implementing tunnel covering is highly recommended.