海老芋

京野菜【海老芋の栽培方法】京都府産の出荷規格は2種類あります

 京都産海老芋には2つの出荷規格があります。1つは、市場出荷をする時の「統一規格」、もう一つは、これをさらに厳しくした「ブランド規格」です。ブランド京野菜を名乗る場合は、後者の「ブランド規格」で出荷されなくてはなりません。(海老芋27)

①統一規格

●京都産海老芋の「等級」(品位)は4つの区分があります。また、「階級」(重さ、入り数)5つの区分があります。
●出荷箱には、この2つの区分を組み合わせた記載が行われます。例えば「秀4L、18個」です。市場のセリでは、この記述と実際の品などを考慮して値段が付きます。

●「秀」というのが、一般的なイメージの「海老芋」です。「肩」の部分が大きく丸く張っているのが良いとされています(参考写真は最低レベルですね)。これは「肩」の部分がとても美味しいからで、ここが大きいほど高値が付けられます。
●「肩」の下の「曲がりながら伸びている部分(尻)」の部分は、あまり美味しくありません。しかし、この部分がちゃんとまがって伸びていないと「肩」が太りにくくなるという関係にあります。つまり、「肩」を最大化させるのが伝統栽培技術なので、「尻」の形も大切ということです。
●京都府北部の丹後地域では追加ルールがあり、そのことが府内で一二を争う高単価につながっています。そのルールとは「芋の長さは肩の幅の2倍以上」というもの。短いと「丸」に落とされてしまいます。

●「丸」は「優」と呼び変えてもいいかもしれません。単価は「秀」の1/2くらいです。「秀」との違いは、芋が短くずんぐりしていること。
●ここで気をつけたいのは、東京などで最近聞かれる「秀は尻がムダ、丸の方が美味しいところだけなので良い」との意見です。いやいや「秀」なら「尻」を切れば美味しい「肩」が残りますが、「丸」はどこで切れば「肩」でしょうか?困ったものです。

●「長」は「良」と呼び変えてもいいかもしれません。単価は「秀」の1/3くらいです。「秀」との違いは、「肩」が張っていないこと。
●つまり、芋が伸びている時に生育終了となり、「肩」が太る時間がなかった芋なのです。トラクターを使ったりすると発生しやすい形です。なにしろ、芋の伸長期に根を切って生育を止めるわけですから。
●「丸」より下のランクなのは、全体的にあまり美味しくないからです。なにしろ、美味しい「肩」が無いのですから。(静岡産はそもそも寸胴系統なので話は違います)

●最低ランクが「せみ」です。親芋に近づきすぎたために「片面が平ら」になった芋です。しかし、「長」より下だからといってマズイわけではありません。「肩」は一応張っているため、実はコスパが良かったりします。良く「肩」が張った芋なら、「長」より味は数段上のことがあるからです。
●丹後の久美浜産の「せみ」なら、4Lがすごくお得だと思います。久美浜の集荷場では、各農家が個選して持ってきたものを、そこにいる他の農家が色々と意見してくるのですが、少しでも平な部分があれば「秀」から「せみ」に落とされてしまいます。さらに「肩」は丸くても「尻」が平らになっていても「せみ」です。この品を買った方は、1/3の価格で「秀」相当の芋が手に入るのでラッキーですよね。
●ではなぜ一番下のランクになっているかというと、京野菜にしては「形が悪いから」だと思いますが、昔の「せみ」規格の悪いイメージが影響しているようにも思います。というのは、かつて「親芋にへばりついている芋」を「せみ」と呼んでおり、その芋は食用にしないとされていたからです。なお、この「旧せみ」は、今の出荷規格でも「出荷してはいけない芋」とされていますので安心してください。

●「階級」が細かく設定されていますが、これは「在来品種」の時のものが引き継がれているからで、今の「京都えびいも2号」には小さすぎます。この品種の能力なら、ほとんどが「2L」以上になるからです。むしろ、ちゃんとした農家なら「4L」以上があたりまえで、豊作の年なら700gの芋が付くこともあり、「5L」も作ってほしいとの声が出たりしています。
●「秀」を買うなら「3L」以上が良いと思います。小さい芋は、皮をむくと美味しい所があまり残りません。できれば、「4L」でも「入り数」の少ないものが結果的にお得になります。400g以上の芋なら、皮をむいた後で等分し涙滴型に細工することで「美味しい所だけ」の食材を数個作ることができます。(たしか「いもぼう」はそうやっていたと思います)

●全ての等級に「小」規格がありません。これは出荷されないことを意味しています。さらに、「せみ」には「L」もありません。これは、「旧せみ」が混ざることを未然に防ぐためのようです。

●箱詰めの写真で、「秀」は曲がりが見えるよう横向きに詰められていますが、今は「尻」を下の段に差しこむ(曲がりが見えない)ようになってきています。

●「こえびちゃん」は「孫芋」や「ひ孫芋」のための規格です。なので、「子芋」を混ぜるとダメです。そんな小さな子芋は未熟なのでまず出荷しません。
●「等級」は「丸」のみです。ただし「長円形」まではセーフになっています。
●最近は、省力化のため「こえびちゃん」の洗浄がオーケーとなっています。ただし丹後産は洗浄不可です。なお、記述やシールがはってあるわけではありません。洗浄については裏付けの試験データがあるのですが、それは「冷蔵庫に入れて1週間大丈夫」というもの。いやいや、サトイモを冷蔵庫に入れますか?1週間以内に食べますか?「こえびちゃん」買うなら丹後産にした方が保存がききますね。

②ブランド規格

●「ブランド規格」は「京のブランド産品」として出荷するためのきかくです。もちろん「統一規格」をパスすることが前提条件になります。

●ブランド海老芋として出荷できる「等級」は「秀」だけで、「丸」「長」「せみ」は出せません。また、「階級」にも制限があり、「2L」以上でなければ出せません。
●それ以外は「統一規格」と変わりませんが、これは「統一規格が厳しい内容だから」ともいえるでしょう。

●「こえびちゃん」については、「階級」だけに制限があり、「3S」以上でなければ出せません。あまり小さいと、皮をむくと小さくなりすぎるので、買うのなら「S」か「M」が良いでしょう。
●「4S」がダメなのは、「20~30g」の孫芋・ひ孫芋は種芋に最適なため、なるべく売らないでほしいという裏事情もあったりなかったり。

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Kyoto-grown Ebi-imo taro has two shipping standards.

Kyoto-grown Ebi-imo taro is shipped under two grading standards. One is the “Unified Standard” used for general market distribution, and the other is the more stringent “Brand Standard.” To be recognized as a branded Kyoto vegetable, the produce must meet the requirements of the Brand Standard.