この記事では、遅い土寄せが招く秀品率低下リスクについて紹介します。(海老芋30)

今年も昨年に続き残暑が厳しいと予想されていたようですが、9月後半からは秋らしい感じになりました。海老芋農家の前を通った時に目が合ったので、これ幸いと少しお話をすることができました。
というのは、最近はやっている「遅めの土寄せ」は、9月の残暑(というか地球温暖化)を利用する管理方法なので「今年の意外と早い秋」の影響が気になったからです。
第一声は「今年も大きいのがたくさんとれたねえ」でした。話をした農家は部会では中堅の位置づけの方なのですが、基本技術を励行されることでも知られていましたから、京都こだわり農法が残暑の変化に対応できているのが確認でき一安心です。
ところが、先日部会で市場へ視察に行ったというので他所の状況を聞いてみたら、悪い予感が当たっている事例もちらほらあったようです。
原因は多分「遅めの土寄せ」でしょう。なぜそんなことをするようになったのか不思議ですが、いいかげんやめた方がいいと思います。
というわけで、今回は「残暑が早めに収束した時」の秀品率低下リスクについて、3回に分けて紹介してみたいと思います。
まずは、「肩(先端部の張り)」が弱く「秀」と言い張るには無理がある場合です。
余分な4回目の土寄せで、芋が余分に伸びてしまった

3回目の土寄せはまあよかったものの、余計な4回目をやってしまったため、芋の伸びが止まらず、肩の張りが貧弱になってしまった事例です。
芋の先端部が不自然に伸びており、4回目の土寄せ効果が出てしまっています。
3回目の土寄せが遅すぎたので、芋が伸びただけ

3回目の土寄せが遅く、さらにドカンとやってしまったため、伸びるのが精いっぱいで肩を張らせる余裕がなかった事例です。
芋の先端部まで3回目の土寄せ効果が見られます。4回目もやったようですが、遅すぎたので芋の伸びには効果がなく、茎を白くしただけです。
2回目の土寄せが遅かったため3回目も遅れ、芋を伸ばしただけ

初期生育がかせげなかったため、2回目の土寄せを遅らせてしまい、これにつられて3回目・4回目も遅くなり、芋を伸ばしただけの管理になってしまった事例です。
1回目と2回目の間隔が空きすぎたため、芋の元部に多くの発根が見られます。湾曲部にも発根が多いため、3回目との間隔も空きすぎています。
Kyoto Vegetables [Ebi-imo Taro] — Causes of Deformation (1): Even with diligent soil mounding, time runs out, resulting in a “Shu (false grade).”
This time, I would like to introduce, in three parts, the risk of a decline in the proportion of top-grade products when the lingering summer heat subsides earlier than usual. First, we look at cases where the “shoulder” (the firmness of the tip section) is weak, making it unreasonable to insist that the product qualifies as “Shu” (top grade).
