海老芋

京野菜【海老芋】種芋の貯蔵②選んではいけない悪い芋とは(その5)

 このシリーズでは、来年度の栽培の出発点となる種芋の貯蔵について、気をつけるべき3つのポイントを紹介します。今回は、選んではいけない悪い芋の5回目です。(海老芋38)

前回の項目からの続きになります。

●短く丸い芽は✕

 芽自体は大きく立派なのに、オウムのくちばしのような「頂芽が尖らず半円形のような芋」があったら、この芋は使用しないでください。
 いくら立派に見えても、実は奇形の芽なのです。

 下の写真を見てください。太く短い葉柄の先に超退化した葉が付いた苗を見たことはないでしょうか。
 このような苗は、ウイルス病などの病害ではなく、ほぼ頂芽の奇形が原因です。頂芽の良くない性質が原因で、育苗中の展葉がおかしくなっているのです。

 ところがこんな苗でも発根は良好なので、次の葉から良い葉になるのではと思いたいですが、回復しません。定植後も回復しません。

 もう少し症状が軽い苗もあったりしますが、地上部が悪い状態のまま生育するので良い苗には仕上がりません。出てくる葉がすべて奇形ですから、光合成がまともにできず生育スピードもすごく遅いです。

 地上部の基礎となる頂芽がもともとダメなので、どうにもならないのです。こんな苗を出さないためには、種芋選別時の頂芽の形にも気をつけてください。

貯蔵中の選別作業

 次回で詳しく紹介しますが、良い芋を選んだだけでは種芋の貯蔵のスタートラインに立った状態です。育苗開始まで貯蔵することが本番です。

 実は、この貯蔵中にも選別作業があります。これをしないと良い育苗は行えません。「ええ?貯蔵したら種芋を見ることなんてできないのでは」という方は多そうですが、それについては次回で説明します。(多分種芋を生き埋めしてるのではないでしょうか)

 具体的な作業は次のとおりです。なお、以前芋が痛むのでダメと説明した「根取り機を通した」「洗浄機で洗った」の方はそもそもが間違っているので、ここでははぶきます。

●出荷が忙しい時は貯蔵中に本選別

 年内の出荷が推奨されているため、どうしても子芋の出荷が優先されてしまい、孫芋までなかなか手が回らないものです。そんな中ですから、種芋の選別はさらに後回しにされがちです。
 こんな時は、種芋の選別を「荒選別」にとどめ、とりあえず貯蔵してしまいましょう。

 しかし、荒選別しかしていませんから、貯蔵中の種芋には不適なものが混ざってしまっています。ですから、遅ればせながらこれを取り除く必要があります。

●貯蔵中に悪化していたら✕

 貯蔵開始時に良い種芋だと判断していても、貯蔵していたら悪い種芋に変化することがよくあります。貯蔵環境が悪いと良く発生します。

 種芋の痛みには、芋本体と頂芽に発生する3種類があります。このようになってしまった芋に対して、廃棄や代替芋準備を行いましょう。

<芋本体の傷み>
・種芋本体に入り込んでいた軟腐病などの病原菌が動き出し、芋部が腐敗し始めた芋。
 こんな芋が混ざっていると、その周囲の芋まで感染し腐敗がどんどん拡大してしまいます。
 速やかに除去し、代替芋を用意する必要があります。

・見過ごしていた芋本体の傷みが進行している芋。
 このような芋は、育苗中の高温多湿条件で一気に腐敗し始める可能性が高くなります。
 速やかに除去し代替芋を用意する必要があります。

<頂芽の伸長>
・貯蔵温度が高くなったため、頂芽が大きく伸び始めてしまった芋。
 貯蔵がまだ続くので芽が痛みやすい。だからといって切除して良いものでもありません。
 こういう場合は、貯蔵温度が良くないので、場所を変えるなどして適温に戻しましょう。
 伸びてしまった芋は分別貯蔵し、個数を把握し代替芋を検討しましょう。

<頂芽から発根>
・貯蔵湿度が高くなったため、芽の動きは少ないものの発根が始まった芋。
 いまさら湿度を下げてもどうにもなりません。育苗までに根が傷んでしまい論外です。
 種芋が小さいので再発根のための養分が足りません。代替芋を用意しましょう。

“Kyoto Vegetables: Ebi-imo — Storing Seed Taro (Part 2): What Kind of Bad Taro You Should Never Choose (No. 5)”

In this series, I’m introducing three key points to keep in mind when storing seed taro, which will serve as the starting point for next year’s cultivation. This is the fifth installment on examples of poor-quality tubers you should avoid selecting.