堀川ごぼう

京野菜【堀川ごぼうの栽培方法】プロの栽培暦教えます

 この記事では、堀川ごぼう栽培の全体像を実践的に把握できるよう、京野菜のプロが行っている栽培技術を栽培暦の形で紹介します。(堀川ごぼう06)

基本情報

目標収量  :900kg/10a、品質は「秀L(1kg)」以上を目指す
        *昔と違い、太くて立派なものより料理で使いやすいサイズが好まれる傾向
        *推奨規格については各地域特産協の資料を参照
栽植密度  :830株/10a(うね幅:150cm、株間:80cm)
        *小ぶりなものを狙う場合は2条植えも可能、その場合苗は2倍必要
品種    :長さ70cm以上の「滝野川系」を購入する
        *農薬履歴の添付が必須
ブランド出荷:下記の京都こだわり農法を必ず実施する
        *有機質資材施用:良質な堆肥 1~3t/10a
        *化学肥料低減 :化学肥料由来窒素成分量 21.5kg/10a
        *化学農薬低減 :成分使用回数 14回まで(苗の履歴に注意)
作型    :購入苗を6月中旬に定植、収穫11月上旬~
施肥    :「堀川ごぼう施肥基準」の最新版を参照
        *有機質肥料を主体とし、化学肥料は補助的に使用する。
防除    :「堀川ごぼう防除指針」の最新版を参照
経営指標  :「経営指標(堀川ごぼう)」の最新版を参照

栽培技術① 圃場選定

 堀川ごぼうの栽培期間には夏期が入るため、積極的な潅水が必要。そのため水の便がよく「うね間潅水」可能な圃場が良い。

 ただし、定植後に根が再生するまでは特に過湿を嫌うので、梅雨に排水良好な圃場という条件も満たす方が好ましい。

 土質は、耕土が深く肥沃な砂壌土を好む。酸性土壌には弱いので、事前のpH測定で低い値が出た時は石灰質資材で矯正する。
 特に前作が不幸作付地の場合は雑草が繁茂しており「白絹病」リスクが高いので、必ず施用し高めに矯正する。

 連作を嫌うので、同一圃場で栽培するためには3~4年開ける必要がある。

栽培技術②土づくり

 堀川ごぼうの栽培日数は、苗を定植するためそれほど長くはないことに注意。そのため、定植時には土づくりの効果が現れている必要がある。

 土づくり資材として「完熟堆肥」と「石灰質資材」を定植1か月以上前、可能なら前年に施用する。

 石灰質資材は「セルカ」等の有機石灰が向いているが、土壌の酸度がきつい場合は「苦土石灰」に変更する。これは、有機石灰では発根が盛んにならないと効果が低いため。

栽培技術③うね立て

 耐湿性が弱く2日以上滞水すると腐敗リスクが高まるので、排水性の良くない圃場の場合は高うねとする。

 定植時に茎葉を切除した株元に光を多く当てるため「南北うね」が良いとされるが、圃場の立地条件を無視してまで行う必要はない。
 いちばん大切なのは良好な排水。うね間⇒額縁⇒排水口と速やかに排水される流れを作ることを心がける。

栽培技術④定植

 定植後には根が伸びず太るだけなので、長さ70cm以上の苗を用意し、出荷規格の60cmに切りそろえて使用する。

 定植後の新根は、切り口から多数発生するいわゆる「ひげ根」。かつてはこのひげ根こそが美味しいとも言われたが、現在はラッキーなおまけあつかい。

 苗用ゴボウの太さは2~2.3cmが良いとされてきたが、他産地から購入するためそこまで気にしない。
 ただし抽苔したものは不可なので、必ず葉柄が残されているものを使用する。(そもそも抽苔隠しのため根部から切除したものには生長点が無いので論外)

 定植方法は、うね中央に溝を切り「15度の角度」で斜めに傾けて埋め込む。これより角度が少ないと、肥大が良いものの扁平になりやすい。また、これより角度が大きいと肥大不良になりやすい。

 株間(葉柄の付け根の間隔)は「60~80cm」とする。60cmより狭いと隣接株と干渉しやすく、80cmより広いと、隣接株の根の先(新根が発生する場所)を日陰にできない。

 定植後は「十分鎮圧」した後潅水する。できれば敷き藁を行い、発根までの乾燥防止を行う。

 雑草を防ぐためマルチ被覆を行う場合は、株元の穴を大きく開け、熱風吹き出しを緩和する必要がある。(葉が広がるまではマルチに直射日光が当たるため)

栽培技術⑤管理のコツ

 肥効を切らさないよう「1か月おきに追肥」を施す。肥料はNK等を使用し窒素とカリを効かせる。
 断根を防ぐため中耕を行わないので、追肥は「うねの肩」に手作業で混ぜ込むのが望ましいが、重労働になる。そのため軽労化するには「うね間潅水で溶かして効かせる」方法がある。

 土の湿りを好適に保つため、梅雨は滞水に気をつけ、梅雨明け後は「うね間潅水」を定期的に実施する。

 「白絹病」が発生しやすいので、予防のため「石灰質資材」を株元に施用しておく。管理機を使用して中耕培土する時は、根があまり再生しないうちに実施する。
 使用する「石灰質資材」は、矯正効果の高い「消石灰」が良い。

 「うどんこ病」は高温乾燥で多発するが、その初発は多湿条件の梅雨に起こるため、梅雨前から防除を計画しておく。
 また、窒素過多による過繁茂でも多発するので、基肥にはCDU等の緩効性肥料を用い、追肥の施用量に注意する。

“Kyoto Vegetable: Horikawa Burdock Cultivation Techniques — A Professional Grower’s Seasonal Guide”

This article presents a practical overview of Horikawa burdock cultivation, introducing the techniques used by Kyoto vegetable experts in the form of a seasonal growing calendar.