この記事では、海の京都・丹後地方に伝わる郷土食(丹後あじわい食)を113食紹介します。食の位置づけは、非日常の「ハレ」と日常の「ケ」に分類しています。また供される季節も付記しています。(海の京都02)

ご飯
◆小豆がゆ(ハレ)冬
小正月のどんど焼きで燃え残った「もち花」の木を使い、餅入りの小豆がゆを炊きます。
◆小豆飯(ハレ)春夏秋冬
二百十日は小豆飯を炊き、氏神様に供えこの秋の平穏無事を祈ります。
小豆は未熟な「若小豆」を使います。
◆出雲行き弁当(ハレ)秋
神様が出雲へ出発する日(10月28日)に供えます。
生黒豆入りご飯、里芋と小豆入りご飯、紫蘇の実入りご飯の3種類を別々に炊いて作ります。
◆いりごき飯(ケ)冬
「いりごき」とは「炒めつける」の意味で大根の皮とじゃこやごまを炒め醤油等で味付けます。
これを炊きあがる直前のご飯に入れ、蒸らした混ぜご飯です。
◆入れおかい(ケ)春夏秋冬
余りご飯を野菜汁に入れ、もう一度炊いたものです。
◆いわしずし(ハレ)春
開いたいわしを酢に1時間ほど浸し、そのまま酢飯に混ぜ込んだものです。
かんぴょうや高野豆腐、薄味で炊いたゴボウ等も混ぜることがあります。
春の節句によく作るごちそうです。
◆えんどう飯(ケ)春
雨降りの日などに作る「ちょっとした」ごちそうです。
◆おきゃあ(ハレ)(ケ)春夏秋冬
漁村で作るおかゆのことです。
漁に出た男たちが持って帰る弁当の残りで作るのが「入れぎゃあ」です。
この他に、七日正月の「七草がゆ」や小正月の「小豆がゆ」があります。
◆おこわ(ハレ)夏秋
小豆の他に特産の黒豆もよく使います。
「へしこ」で味付けた黒豆のおこわは、京都の料亭が作るお弁当にも取り入れられています。
◆おし菜飯(ケ)秋冬
夏から秋にかけて大根の間引き菜をぬか漬にしたものが「おし菜」です。
これを刻み麦飯といっしょに炊きます。
炊きたてはぬかの臭いがきついですが、冷めるとおいしくなります。
◆おぼろずし(ハレ)春夏秋冬
かんぴょうや蒲鉾等の具を酢飯に混ぜます。
その上に「鯖のおぼろ」や紅生姜等を散らした「ばらずし」です。
◆かぼちゃ飯(ケ)夏
かぼちゃが入った麦飯です。
カボチャの粘りと甘みで、麦飯のぽろぽろ感がおさえられます。
◆このしろずし(ハレ)冬
酢でしめた「このしろ(こはだ)」に、調味したおからを詰めたものです。
お使いものによく利用されます。
◆さつまいも飯(ケ)春秋冬
収穫時に出たカンショの「くず芋」を混ぜて炊いたご飯です。
丹後地方は砂丘でとれるカンショが特産で「京かんしょ」というブランドもあります。
◆しょうはい飯(ハレ)春夏秋冬
五目飯のことで、炊き込む具は季節により異なります。
暑い夏には、さっぱりするように「鶏肉」と「花みょうが」で作ります。
稲刈り納めの日には、新ごぼう等たくさんの具を入れて作ります。
「しょうはい」とは「塩っぽい」のことで、この料理は醤油で味付けします。
◆しろめし(ハレ)春夏秋冬
ハレの日のごはんです。特に漁村では海でとれるものより陸でとれるものが重宝されます。
◆じんめごはん(ケ)冬
「じんめ」とは貝の「ヨメガサ」のことです。
岩のりを食べている冬場が旬になります。
内臓も一緒に炊き込むため、サザエより磯の香りを強く感じます。
炊きあがる直前に海藻の「はば」を加えると風味が増します。
◆ずいきいも飯(ケ)春秋冬
収穫時に出たサトイモの「くず芋」を混ぜて炊きます。
◆そらまめ飯(ケ)春夏
雨降りの日などに作るちょっとしたごちそうです。
若取りのそら豆を使います。
◆だいこ飯(ケ)秋冬
前の晩に大根をさっとゆでておき、炊きあがったご飯にまぜ、塩味で整えます。
主に冬場の朝食で食べます。
◆たけのこ飯(ハレ)春夏
春の香りを楽しむ味付けごはんです。
筍は「孟宗竹」のほか「はちく」や「まだけ」も使います。
◆茶がゆ(ケ)秋冬
煎った「そら豆」を番茶に入れて作るおかゆです。
◆茶飯(ハレ)春夏秋冬
お通夜に番茶を煮出し、塩味で炊きます。
◆苗めし(ハレ)春
おにぎりに「きな粉」をまぶし、苗で包んで男の子と女の子の容姿をあらわします。
田植えの頃の弁当として作ります。
◆二度いも飯(ケ)春夏
ジャガイモの「くず芋」を混ぜて炊きます。
ジャガイモは「二度いも」と呼ばれますが、これは年2回収穫できることからきています。
夏野終わりに種芋を植えると、年内にもう一度収穫できます。
◆ばらずし(ハレ)春夏秋冬
「おぼろずし」「まつぶた寿司」「祭寿司」など地域によって様々な呼び名があります。
「海の京都」キャンペーンにより「丹後ばら寿司」として知名度が上がってきています。
◆ひこや飯(ケ)春夏秋冬
「ひこや」とは「メジナ」のことです。
3~5年ものの「ひこや」の干物を醤油味でご飯と炊き込みます。
炊きあがったら骨をはずして混ぜ込みます。
◆ふき飯(ケ)春
甘辛く煮た蕗と「じゃこ」の混ぜご飯です。
炊きあがる直前のご飯に入れて蒸らします。
◆巻きずし(ハレ)春夏秋冬
春の巻きずしには、青みとしてセリが入っており、ほろ苦いアクセントになっています。
真ん中の良いところをお客さんに出します。
子供は残った端を食べるものでしたが、実は端の方が具がはみ出すくらい多くておいしいです。
◆まつぶた寿司(ハレ)春夏秋冬
浅い木の箱(まつぶた)に、ばらずしを詰めて作ったものです。
「まつぶた」を使うのは丹後特有の作り方です。
「丹後ばらずし」では、この作り方が標準とされています。
◆豆飯(ハレ)秋
若取りした大豆を入れた炊き込みごはんです。
◆まぜくり飯(ハレ)春秋冬
「大根の煮あえ」の中に麦飯を入れ、おかゆとしたものです。
◆むかご飯(ハレ)秋
稲刈りの休憩中に自然薯を掘りに行くことがあり、ついでにむかごも収穫していました。
いつもの麦ではなく米と炊くため、ちょっとしたごちそうでした。
◆麦飯(ケ)春夏秋冬
かつての丹後では毎日の主食でした。
麦を前の晩に炊きさっと水で流した「えばしむぎ」を、米と混ぜて炊いたものです。
麦は大麦を使います。
餅
◆あさいもち(ケ)冬
「いりご粉」に山野草をつなぎとして混ぜたお餅です。
「ごぼう又は山ごぼうの葉」「よもぎ」「うらじろの若葉」のどれか一つをつなぎにします。
「いりご粉」とは小米等のくず米を粉にしたもので「ゆるご粉」とも言います。
焼いたり汁に入れたりして食べます。
「あさい」とは「朝飯」のことなので朝食でよく食べます。
◆亥の子餅(ハレ)秋
旧暦10月の「亥の日(1年の締めくくりの日)」に餅をついて祝うのが「亥の子」行事です。
この日は「田の神」が1年の仕事を終えて家に戻られる日とされています。
新米を炊いて白餅を作り、夜にぜんざいに入れて食べ無病息災を祈ります。
◆いりごもち(ケ)春冬
「あさいもち」に餅米を少し加えると、いりごもちになります。
◆きゃあもち(ケ)春秋冬
くず米粉を使った「こねもち」のことで、「きゃあ」とは「こねる」の意味です。
乾燥した「よもぎ」「ははこぐさ」「ゴボウの葉」を入れ粘りをつけます。
特によもぎは焼くと風味が出ます。
柔らかいうちに丸めて醤油やきな粉をつけて食べますが、普通の餅のようには伸びません。
硬くなったものは、切って焼いて食べます。
◆きんかんもち(ハレ)夏
「ただ米(うるち米)」と「もち米」を半々でひいた米粉をぬるま湯でこね、蒸し餅にします。
小豆あんをくるみ、油を引いた鍋で両面をこんがりと焼きます。
包む餅の皮は、できるだけ薄くします。
◆さともち(ケ)
ぼたもちのことです。
お嫁さんが里に帰る時、お姑さんが作って持たせたことからこの名前が付きました。
◆すり焼き(ケ)春夏秋冬
精米した時に出る小米を水につけてすり、糊状にします。
これに青エンドウ等を入れ、塩で味付けし、油を引いた鍋で焼いたものです。
◆そばがいもち(ケ)春秋冬
湯を煮立てた鍋にそば粉をふるい入れ、焦げ付かないようよく混ぜながらこねて作ります。
じゃこだしに醤油と砂糖で味を付け、きざみネギと炒りゴマを入れた汁を作ります。
そこに「そばがいもち」をすくい入れて食べます。
◆そば練り(ケ)秋冬
お湯で「そば小粉」を練り、砂糖味で食べます。
◆そばのきゃあもち(ケ)秋
そば粉をぬるま湯を加えて練ってから蒸したものを、さらに練ったりついたりして作ります。
餅を薄くのばし、あんを包んで丸め、油を引いた鍋でこんがりと焼きます。
あんには、砂糖の代わりにさつまいもを使うこともあります。
◆だんご(ハレ)夏
きな粉をまぶし砂糖をつけ、お盆等に食べます。
◆だんご汁(ケ)春夏秋冬
だんごは、もち米8うるち米2の割合で粉にしたもので作ります。
野菜汁の中に入れ、浮いてきたらできあがりです。
具は大根やインゲン豆とネギで、醤油味のあっさりしたものが好まれます。
◆なべずり(ハレ)春秋
もち米8うるち米2の割合で水をひかえて炊きます。
これを、すりこぎでよくつぶしてから丸め、小豆あんを表面につけます。
小豆あんは、砂糖味と塩味の2種類を作ります。
◆のしもち(ケ)夏
くず米と餅米に、あわ、きび、よもぎ等を混ぜて作ります。「へんごろうもち」とも言います。
保存食なので、二三日間水で戻してからたべます。
冬の間に作って保存しておき、麦刈りの頃から夏にかけての「ええもん(おやつ)」にします。
◆ひら焼き(ケ)春夏秋冬
小麦粉を水で柔らかくこねて塩味をつけ、油を引いた鍋で両面を焼きます。
◆ぼたもち(ハレ)春夏秋
春と秋の彼岸にはぼた餅を作り神仏に供えます。
◆ぼりぼり(ケ)春夏冬
「あられ」のことで、食べるときの音がそのまま名前となったものです。
鍋で炒ったり揚げたりしてから醤油味をつけます。
雛祭りの時は三色の「ぼりぼり」を作ります。
◆よたらもち(ケ)春冬
「ゆるご粉」で作った餅をめん板で伸ばし、あんを包まないものです。
これは京丹後市網野町の呼び方で、同市久美浜町では「こがねもち」と呼びます。
◆ろくとう(ケ)冬
きび粉や小麦粉を水で柔らかめに練った「すいとん」のことです。ろくと汁とも言います。
醤油味の野菜汁に、一口大をすくい取って入れ、一緒に煮て食べます。
そばで作ると「そばろくとう」、きびで作ると「きびろくとう」と呼びます。
煮物・汁物
◆いとこ煮(ハレ)春秋冬
小豆と秋野菜を煮込み、小麦粉の団子を加え塩で味をととのえたものです。
野菜は、食べやすい大きさに切った大根、サトイモ、ゴボウ、サツマイモ等を入れます
滅多に食べられないごちそうでした。
◆かけうどん(ハレ)(ケ)春夏秋冬
夏の新粉で作ったうどんは香り・こしともすばらしく、観音祭のごちそうにします。
盛りうどんにすることもあります。
◆かけそば(ハレ)春冬
つなぎに「つくねいも」を用いてそばを打ちます。
皿に盛った上からだし汁をかけたものが「かけそば」です。
だし汁につけて食べるようにすると「もりそば」になります。
◆ぐら汁(ケ)冬
「ぐら」とは深海魚の「ノロゲンゲ」のことです。
カニ漁の底引き網で一緒に水揚げされたものを使います。
すまし汁にする方法と、酒と醤油で炊きあげる方法の二種類があります。
◆黒豆の煮豆(ハレ)冬
正月にはなくてはならない一品です。
◆けんちゃん(ケ)冬
炒めた大根に油揚げ等を加え、砂糖と醤油で味をととのえて煮あげたものです。
だしじゃこを奮発してうまみを効かせます。
薄味にして長時間かけて煮るとよりおいしくなります。
◆塩からざあ(ケ)夏
煮た夏野菜の上に塩辛いわしを乗せ、さらに煮たものです。
塩気とだしが出て野菜がおいしくなります。
塩辛を入れるのは、調味料を節約するためでもあります。
◆ずいき芋の煮転がし(ケ)秋冬
サトイモを醤油味でことこと煮込んだものです。
◆ぞうご煮(ケ)春夏秋冬
「とらえび」を獲る網にかかる小魚を「ぞうご」と呼びます。
これを砂糖醤油でことこと炊いたものです。
◆だいこざい(ケ)春秋冬
大根の煮しめで大根の菜(でゃあこのぜゃあ)とも言います。
小ぶりの聖護院大根を使うことが多く、サトイモ、ニンジン、ゴボウ、昆布等も加えます。
砂糖と醤油で味をととのえてから、ことこと煮ます。
正月に精進料理として食べる時は「福煮」と呼びます。
◆大根の煮あえ(ケ)春秋冬
せん切り大根と乱切りジャガイモを、じゃこを敷いた鍋に入れ醤油と砂糖で味付けして煮ます。
◆たくあんのぜいたく煮(ケ)春夏秋冬
酸っぱくなった古いたくあんを塩出しし、甘辛く炊いたものです。
二回も手間をかけるので「ぜいたく」と言われます。
◆たたきの煮つけ(ケ)春夏秋冬
「たたき」とは「すり身」のことです。
いわし等のたたきを、醤油と砂糖で味付けした煮汁でことことと弱火で炊いたものです。
季節の野菜との炊き合わせもします。
汁をご飯にかけて食べることもあります。
手間がかかるので、よほど暇がないと作りません。
◆たにしの佃煮(ケ)秋
田んぼの足跡にはタニシが集まるので、これをザルですくい、川で2~3日泥を吐かせます。
内臓を取り除いたあと、塩もみしてから甘辛く煮ます。
初夏の水田に散る稲の雄しべを食べたタニシが美味しいとされます。
◆なすのあほう煮(ケ)夏秋
炒めたなすを醤油や砂糖等で炊いたものです。
「あほうほど」たくさん食べられるおいしさからつけられました。
◆はばの味噌汁(ケ)春夏
「はば」は「はばのり」のこと。季節の野菜とともに味噌汁の具とします。
◆若竹煮(ケ)春
たけのこがよく取れるので、この時期は毎日食卓に上ります。
漬物
◆青しそ葉の塩漬(ケ)春夏秋冬
塩と葉を交互に漬け込んでおき、必要なだけ取り出して使います。
おにぎりに混ぜたりふりかけにして食べます。
◆おから汁(ケ)春夏秋冬
みそ汁におからを入れてどろどろにし、刻みねぎを浮かしたものです。
◆おこぜの吸いもの(ケ)秋冬
大骨でだしをとったすまし汁に一口大の身を入れ、ネギとミカンの皮を散らします。
◆おし漬(ケ)春夏秋冬
正月から秋大根がとれるまでの間、ずっと食べ続ける塩漬けです。
そのため正月と春、夏では塩加減を変えます。
甘み等が加わり良くなるよう、各家庭でなすの葉や柿の皮等を加える等工夫します。
◆おし菜(ケ)秋冬
大根やかぶらの間引き菜としゃくし菜を混ぜてぬか漬にしたものです。
菜の香りを残すため、やや塩をきつくします。
◆かぶらの酢漬(ケ)秋冬
薄く輪切りにしたコカブを、酢に砂糖少々を加えた液に漬け込みます。
◆くもじ(ケ)秋
大根の間引き菜の塩漬けを刻み、生姜醤油をかけたものです。
◆三度豆の煮豆(ハレ)(ケ)冬
日常の食事だけでなく、お講にも供される大切な料理です。
◆しその実の塩漬(ケ)
京丹後市大宮町では、赤しその実に塩を振り、十分にもんだ後坪の中に入れ漬物にします。
◆しゃくしなの切り漬(ケ)夏秋
しゃくしな(雪白体菜)の緑鮮やかな塩漬けです。
◆しろうりの粕漬(ケ)秋冬
天日で一日干した瓜を酒粕に漬け込みます。
京丹後市丹後町ではは酒粕を多く使います。
◆たくあん漬(ケ)冬
12月に収穫した大根を10日間ほど風当たりの良い場所に干し、塩と麹で漬けます。
大根は乾かすと甘みが出ます。
乾き過ぎると漬けた時に歯ごたえが悪くなるので、への字型にしなる程度にします。
暖かい日に干すとスが入るので良くないとされます。
柿の皮やなすの葉を刻み込んで入れ、自然の甘みを使い風味をよくします。
ニンニクを細かく切って入れ込むと、酸っぱくなるのを防ぐことができます。
漬けて3カ月もすれば、十分に塩分が大根にしみこみおいしくなります。
◆たけのこのもぞく漬(ケ)春夏秋冬
「もぞく」は「もずく」のことです。
ゆで筍を塩蔵する時に一緒に漬けると「もぞく」の香りがしみこみ風味が生まれます。
ただし「もぞく」は食べません。
◆どぼ漬(ケ)夏秋
「どぶ漬」のことです。
主になすときゅうりを使い、ぬか床に一昼夜つけ込みます。
◆まちかね(ケ、ハレ)春夏秋冬
丹後地方に古くから伝わる味噌漬けです。
塩漬けした紫蘇の実と麹を混ぜて木綿袋に入れ、味噌たるの底の方に置き漬け込みます。
漬かるのに6カ月~1年かかります。
漬け上がりをいまかいまかと「待ちかねる」ほどおいしいことから付いた名前です。
主に来客用として用いられました。
味は福神漬に似ていますが、よく浸みた紫蘇の風味が食欲をそそります。
◆へしこ(ケ)春夏秋冬
いわしやさば等のぬか漬です。
春に漬け込み、ぬかが発酵し始める梅雨明け頃が最もおいしいとされます。
漁村では、野菜の漬け物に相当する一般的な食べ物です。
◆味噌ごろも(ケ)春夏秋冬
しその実と細かく切った大根やかぶらに塩と麹を混ぜ合わせ、竹の皮に包みます。
これを、仕込んだ味噌の上に置いて漬け込んだものです。
◆味噌大根(ケ)春夏秋冬
味噌を仕込む時に同時に作るものです。
味噌桶の底に大根をすき間なく並べ、その上に味噌を仕込んでいきます。
味噌を食べ終わる頃に、出てきた大根を食べます。
◆やたら漬(ケ)冬
しろうり、きゅうり、なす、しその実、しその葉等を刻んで作った味噌風味の漬け物です。
麦飯によく合います。
その他
◆甘酒(ハレ)秋冬
氏神祭、お講等のごちそうとともに飲まれます。
特に女性の集まりでは欠かさず甘酒を作りました。醸造元の多い丹後ならではの習慣です。
◆いかなます(ハレ)春秋冬
大根のせん切りと同じ細さに切ったイカをあわせ、酢味噌であえたものです。
イカは刺身にできない部分を使います。
祝い事にはよく作ります。
◆いわしの塩辛(ケ)春夏秋冬
いわしの塩漬けです。
塩抜きして焼いて食べるほか、野菜の煮物の味付けにも使います。
◆いわしのぬた(ケ)春夏秋冬
やや大きめの「かたくちいわし」を使った酢味噌あえです。
◆うごの白あえ(ハレ)夏
「うご」は海藻の「おごのり」のことです。
たたいた「うご」をことこと煮て「流し箱」に入れて固めます。
すった豆腐に味噌、砂糖、酢、すりごまで味を付け、短冊に切った「うご」をあえます。
漁村の祝い事や仏事にかかせない料理です。
◆こんにゃくの刺身(ケ)春夏秋冬
丹後はコンニャク芋の産地だったので、アクの少ないコンニャクも作れました。
ニンニク醤油やわさび醤油、辛子醤油等の好みの醤油で食べます。
◆さい味噌(ケ)夏秋冬
「醤の実」「ひしお」とも言います。
炒ったそら豆で作った醤油麹に水と塩を入れ、毎日かき混ぜると十日ほどでできます。
夏場は「干飯」を使い即席で作ることありました。
◆さんしょの葉の干したもの(ケ)春夏秋冬
ゆがいたさんしょの葉を乾燥して保存し、食べる時に水で戻し、佃煮にしたりします。
へしこの上に乗せて虫除けにも使います。
◆塩いか(ハレ)冬
「切りめいか」とも言います。できるだけ大きな秋いか(あおりいか)を使います。
二日程度塩漬けした後、竹串に刺して乾燥し保存したものです。
伊根町では、大晦日にはゆがいた「塩いか」を「おべっさん」に供えます。
正月は鏡餅とともに供えるなど、四月頃までの祝い事に供されます。
◆酢ずいき(ケ)秋
「ズイキ」とはサトイモの茎のことで、赤い茎(赤ズイキ)で作る秋のごちそうの定番です。
赤ズイキの皮をむき塩少々加えて鍋で炒り、しんなりしたら三杯酢につけると赤く色づきます。
このまま食べたり、砂糖と醤油で味をつけたすりごまとあえることもあります。
酢を加えよく煮てえぐみを取る調理法もあります。
◆素焼きの煮つけ(ケ)春夏秋冬
磯辺の小魚を焼き、砂糖を加えた醤油に入れて弱火でことことと炊いたものです。
◆そら豆の炊り豆(ケ)春夏秋冬
漁村では、そら豆は干してから炒り豆にします。
そのまま食べますが、年寄りは硬いので湯で柔らかくして食べます。
子供が海で泳ぐ時、袋に入れて腰に付けておくと柔らかくなり塩味のおやつとなります。
◆田づくり(ハレ)春夏秋冬
干した小ぶりのイワシを軽く焼き、砂糖を加え沸騰した醤油に入れからませたものです。
祝い事では、黒豆と一緒に小皿に盛りつけます。
◆谷水菜の佃煮(ケ)春夏秋冬
塩蔵した「谷水菜(うわばみそう)」を塩出しするため水で戻します。
千切りにした干ししいたけと合わせ、だし汁を加えて煮詰めたものです。
あまり煮詰めず、煮物にすることもあります。
◆たのしのぬた(ケ)春
田んぼで拾った「たのし(たにし)」を竹かごに入れ、四五日きれいな流水で泥を吐かせます。
むき身を酢味噌でネギと合わせてぬたにします。
白あえや醤油味で佃煮風に煮しめたりもします。
◆つめ粕(ケ)春夏
酒粕を壺に入れておき、食べる時に取り出し丸めて砂糖をまぶします。
酒がきついので大人のおやつです。
◆天じくり(ケ)春夏秋冬
醤油を沸騰させて砂糖を加え、そこに小さめのじゃこを入れ、とろ火で炒るように煮詰めます。
◆ところてん(ハレ)夏
丹後では良質の天草がとれるため、金物屋では必ず「ところてん突き」が売られています。
酢醤油、からし酢醤油、おろししょうが酢醤油で食べます。
お盆や夏の行事で食べるごちそうです。「すっころてん」とも言います。
◆なます(ハレ)冬
ハレの日の食事にはたいていついています。
◆はったい(ケ)春夏秋冬
玄米で作った「はったい粉」に砂糖を混ぜたものです。丹後では麦ではなく玄米で作ります。
そのままさじで食べたり、熱湯でこねて食べたりします。
熟柿の身と混ぜてこねたものは「柿ばったい」といいます。
◆はなくそまめ(ハレ)春
あられと炒った豆を米粉ともち米粉を糊状に煮たものとからめ、取り出し固まらせたものです。
豆は大豆、青大豆、茶豆、黒豆を使います。
固まりになりやすいので、食べるときには木杓子でばらします。
五月の釈迦の誕生日には必ず作るおやつです。
◆もずくの酢味噌あえ(ケ)春夏秋冬
塩蔵もずくを何回も塩出しして使用する。(ふるさとの料理)
◆わかめなます(ケ)春夏秋冬
漁村では、四季をとおして作る酢の物です。
◆わらびの卵とじ(ケ)春
アク抜きしたわらびを醤油味のだしで炊き、卵でとじたものです。
“Introducing 113 Local Dishes of Tango, ‘Kyoto by the Sea'”
This article introduces 113 traditional dishes from the Tango region, known as ‘Kyoto by the Sea.’ Each dish is categorized according to its role in daily life (‘ke’) or special occasions (‘hare’), along with the season in which it is typically served.