伏見とうがらし

京野菜【伏見とうがらし】プロの栽培暦教えます(ハウス栽培)①圃場準備~初期管理

 この記事では、伏見とうがらし栽培(ハウス栽培)の全体像を実践的に把握できるよう、京野菜のプロが行っている栽培技術を栽培暦の形で、2回に分けて紹介します。(伏見とうがらし01)

基本情報

●目標収量  :400kg/a以上、4.4kg/株以上

●栽植密度  :●主枝1本整枝(密植も可能、ただし要相談)
         約110株/a(うね幅:1.8m、株間:50cm)、間口7.2mハウスなら3うね
        ●主枝3本V字整枝
         約90株/a(うね幅:1.8m、株間:60cm)、間口7.2mハウスなら3うね

●品種    :京都府ブランド農家は、各地域の特産物育成協議会が推奨する品種

●ブランド出荷:下記の京都こだわり農法を必ず実施する
         ●有機質資材施用:良質な堆肥 200~500kg/a
         ●化学肥料低減 :化学肥料由来窒素成分量 5.4kg/a(長期栽培)
         ●化学農薬低減 :成分使用回数 23回(長期栽培)

●作型    :ハウス栽培(定植4月上旬、収穫5月下旬~11月下旬)
        整枝・着果管理により、晩秋まで樹勢を維持し、長期取りを行う

●土づくり  :「完熟堆肥」200~500kg/a、「苦土石灰」10kg/a(好適PH6.0~6.5)

●施肥    :「伏見とうがらし施肥基準」の最新版を参照
        ●基肥は緩効性肥料を控えめに施用し、追肥主体で肥効をコントロールする
        ●追肥は潅水チューブにより液肥を施用し、肥効を切れ目なく持続させる

●防除    :「伏見とうがらし防除指針」の最新版を参照
        予防防除を基本とした体系防除を実施する

●育苗    :長期取りに適する接ぎ木苗をJAから購入し使用する
        定植苗は若苗ではなく、第一花が付いている苗を使用する

●定植    :マルチ内に潅水チューブ2本を設置したうねに1条植えする
        活着促進のため、定植後は仮支柱で支え、不織布トンネルで保護する
        トンネル被覆資材は、透光性の良い「パオパオ90」を用いる

●整枝    :トンネル除去後から誘引を開始し樹形を整える
        ●主枝1本整枝(密植も可能、ただし要相談)
         *最も省力・低コストな整枝法なので、この方法についても紹介する
        ●主枝3本V字整枝
         *万願寺とうがらしと同様の方法で実施する
        ●主枝4本平面整枝
         *家庭菜園以外では採用しない

●生理障害  :尻腐れ症を防ぐため根量確保(広うね)と樹勢維持(誘引・摘果)に務める
        日焼け果を抑制するため、遮熱対策を取り入れ、過度の剪定は行わない
        遮光率の高い資材は使用せず、投稿率の高い遮熱資材を使用する

●収穫    :果実(秀)は、曲がりが軽微で、長さ12~15cm、太さは1.5cmまでとする

栽培技術① 長期取りを支える圃場づくり

●土づくり資材(完熟堆肥、石灰)を施用し、腐植補給とpH矯正を行う。
 ・牛糞主体の堆肥を施用する時は、ふるいを通し大きな糞塊を除去しておく。
 ・石灰資材には効果が早く現れる「苦土石灰」を用いる。

●基肥には緩効性肥料を使用する。使用量は控えめとし、追肥主体の肥培管理を行う。
 ・基肥例:「CDU燐加安S682」16kg/a(全層施用)
 ・追肥例:「くみあい液肥2号」300倍✕40回程度(潅水チューブ使用、200ℓ/回程度)
       *京都こだわり農法が定める化学肥料由来N量の上限値に注意する

●土づくり資材と基肥を全層施用し、広く高い排水性の良い蒲鉾型うねに成形する。
 ・定植1か月前に土づくり・基肥施用・うね立てを同時に行い、定植時の地温確保に努める。

 ・うね上(うね方寄り)に、潅水チューブを2本設置した後、マルチで被覆する。
 ・潅水チューブの配管は、水圧が均一になるようループ状に接続する。
 ・ハウス内配管の途中に立ち上がりを設け、蛇口と液肥混入器を設置する。

栽培技術② 活着促進で初期生育を確保

●株間60cmとし、ホーラーで苗鉢より大きめの植穴を開ける。
 ・ホーラーは可動式を使用し、土を掘るように作動させる。
   *手順は、開く⇒土に刺す⇒閉じる⇒持ち上げる⇒横に土を置く
     参考:「開閉式移植兼植え穴あけ」株式会社サンエー
 ・株元が過湿・高温になりやすいので、植穴は小さくしない。
 ・定植前の植穴にアザミウマ防除の粒剤を入れておくと、初期防除を省力化できる。

●苗を植える前に3本の主枝を決め、2本の側が連続しないよう互い違いに植える。
 ・主枝が2本しかない場合は、主枝から出ている一番良い側枝を3本目の主枝とする。

●株元が埋まらないよう、植穴に土を戻し浅めに定植する。
 ・植穴周辺に湿りを持たせるため、定植前に植穴へ潅水しておく。

 ・株の周囲にドーナツ状の溝を掘る。
 ・溝の土でマルチの穴をふさぎ、マルチ内から熱風が吹き出てくるのを防ぐ。

 ・ドーナツ状の溝へ手潅水し、根鉢の外の水分を高めてやる。
 ・株に仮支柱を添えるとともに、誘引開始まで不織布トンネルで覆う。

●定植後は、天候に合わせて温度管理を行うため、適宜ハウス側面を開閉する。
 ・側面換気時は、防風のため不織布トンネルを被覆したままとする。
 ・活着するまでの潅水は、株元ではなくドーナツ溝に手潅水で行う。
   *潅水チューブを株元に設置して稼働させると、活着促進には逆効果となる。

●主枝の分枝部より下から発生するわき芽は、樹勢維持のため早期に除去する。
 ・この時除去するのはわき芽だけで、葉は除去しない。
 ・樹勢維持のため、わき芽が大きく生長する前に除去する。

栽培技術③ 活着後の樹勢維持

●活着後の潅水は、手潅水から潅水チューブに変更する。
 ・潅水量の目安は200~300ℓ/aだが、株の大きさや天候により増減する。

●樹勢を維持するため、2番果が着果したら1番果を摘果する。

●2番果の肥大が始まれば追肥を開始し、施用間隔は10日に1回を目安とする。
 ・追肥は液肥を使用し、潅水チューブで潅水と同時に実施する。
 ・1回の1a当り追肥量は「くみあい液肥2号」を300倍で200ℓを目安とする。
   *京都こだわり農法により、長期栽培の施用回数は40回程度とする。

●初夏までの害虫防除は、スリップス⇒タバコガ⇒アブラムシの順に行う。
 ・農薬散布を行う時は、果実の汚れ(白い微粒子)を防ぐため、専用の展着剤を混和する。
   *「浸透移行性」ではなく「濡れ性」向上の資材を使用する。
     参考:「まくぴか」石原バイオサイエンス株式会社

“Professional Cultivation Calendar for Kyoto Vegetable Fushimi Togarashi (Greenhouse Production)”

This article presents a practical overview of Fushimi Togarashi cultivation by outlining the techniques used by professional Kyoto vegetable growers in the form of a cultivation calendar.