市場出荷をするなら「主枝3本V字整枝」が最適です。この記事では、整枝までの生育初期に樹勢を維持するため行う「わき芽かき」について説明します。

技術の良し悪しは単収で判断しましょう
「万願寺とうがらし」は市場に出荷すれば高値(万願寺甘とうブランドなら800円/kg)がつきやすいため確実にもうかる京野菜です。
ただし「ハウス栽培による長期取り」により「単収4t/10a」以上を達成することが必要です。ハウスの大きさが7m×30m≒2aなら1棟から800kg取ることになります。
この収量を達成するためには、長期にわたり樹勢コントロールするための栽培技術「主枝3本V字整枝」が最適です。この記事から数回にわたり、整枝を実施する時のコツを説明します。
なおネット上だけでなく現地でも色々な栽培方法が出まわっていますが、この収量を達成できない技術は「個人の感想レベル」といえます。
わき芽に養分はやらない
「万願寺とうがらし」の苗は「主枝がある高さで分枝」し主枝が2本~3本になっています。この分かれたところを「分枝部」といいます。
ここで分かれた主枝を斜めに誘引していくのが「主枝3本V字整枝」です。なお主枝が2本しか分かれていないときは「強そうな主枝の最初に出た側枝」を主枝として使用します。
主枝の誘引がはじまる前に必要な作業が「わき芽かき」で、行う部分は「地際部から分岐部まで」です。
「分岐部」以降のわき芽は実をならせるため絶対に除去してはいけません。
「分枝部」までの茎にも節がありその「節ごとに葉」がついています。「わき芽」はこの葉の付け根に発生してきます。
「わき芽かき」は、この「葉の付け根に発生した芽」を除去し、主枝へ行く養分がわき芽に奪われないよう行う作業です。
ですから「わき芽が大きくなる前」に行わないと意味がありません。
作業は、あまり小さいうちは茎を痛めてしまうので「少し動き出した頃」に行いましょう。「わき芽」は柔らかいので、指で押した程度でポロッとはずれます。
なお行うのは「天気の良い日」が良いでしょう。切り口がすぐ乾くので病気にかかるリスクが下がるからです。
わき芽だけでなく葉まで除去してしまう人が時々いるのですが、これはダメです。葉は残しておいてください。
初期生育時の株は葉が足りませんから減らすと光合成に困ります。さらに、葉からの水分蒸発が根の吸水を助けているため、葉が少ないと基肥が十分吸えなくなります。
日が当たらない葉だから役立たずとかアブラムシの巣になるとかいう人もいますが、初期生育時は葉がまばらで株元まで光がとどきますし、アブラムシが増えるのは6月に入ってからで換気部分にネットを張っているので人が持ち込まないかぎり増えません。
この葉にこだわりたい気持ちはわかりますが、そのうち色あせてきますから、収穫の時にでも除去してください。
まとめ
「主枝3本V字整枝」を行うには、順調な初期生育が必要です。そのため「分枝部」までの「芽かき」を遅れないように行います。
If you want to make a profit, V-shaped pruning is the only choice. (1) Maintain tree vigor by pinching off side shoots, keeping the leaves. (Manganji tōgarashi 11)
To carry out “V-shaped pruning with three main branches,” steady early growth is essential. Therefore, be sure to pinch off the shoots up to the “branching point” without delay.