海老芋

定植は「溝内浅植え」一択・深植えは間違い(海老芋09)

この記事では、海老芋苗の定植方法について説明します。

はやりの「溝底定植」はダメ

 うね中央に溝を掘って定植するのは京都府では定番の技術です。でも最近はやっているというより定着しつつあるのが「溝の底に苗を置く」方法です。これはひどい。
 さらにひどいのが「溝の底に穴をあけて苗を入れる」方法です。これはもう栽培やめた方がよいです。

 これをやっている理屈は「土寄せの省力化・機械化」なのでしょうか。「土寄せ」というのは「生育途中に株を埋める」作業で、海老芋栽培の中心的な技術です。
 たしかに溝の中へ土を放りこめば楽だし、「ラセンずき」を使えば土を飛ばし入れることもできるからでしょう。
 しかし色々考えるのは良いことですが、ちゃんと良い芋が取れているのでしょうか?見たことないですよ。

 ダメな理由は単純で「溝の斜面に沿って斜めに伸びた海老芋ができる」からです。それで良さそうですが子芋だけでなく「親芋も太る」ことを忘れていますよ。
 「狭い溝の中で両方が太る」とどうなるか。一番安い規格「セミ」になってしまいます。「セミ」というのは「片側だけ平らな芋」のことです。
 秀→丸→長→セミの順番に単価1/2になっていきますから、芋が大きくてもぜんぜんもうかりません。(秀が8000円/箱ならセミは1000円/箱)

 ダメ押しにもう一つあります。それは根が伸び難くいため活着が遅れ、初期生育が著しく劣ることです。
 海老芋の根は横に伸びる性質が強く下方には伸びません。本命の横はというとそっちへも伸びません。土中深度が深く地温が低く空気も薄いからです。斜面を登っていけばよいのですが重力に逆らうことはできません。
 溝底に穴を開けて植えるのがまったくダメなのは、これらの悪条件にぴったりだからです。

溝は掘っても「浅植え」しましょう

 ではどうするのが良いかというと、溝は掘りますが「土を少し戻しその上に苗を置く浅植え」がおすすめです。これなら親芋から子芋を離して太らせることができますね。

 さらにこの定植方法なら、活着を促進する効果もあります。
 根鉢が周囲を柔らかく暖かい土に囲まれているため、根が横や下に伸びやすくなるからです。

 「そうかもしれないけど土寄せ労力が大きくなる」という方がおられますが、答えは簡単「その土寄せ方法がまちがってる」です。ほんらい海老芋は「楽してもうける」野菜なのですから。

*参考「京都府の農業改良普及 令和4年度普及指導活動外部評価の概要について」京都府農林水産部

まとめ

 定植技術の定番は、植え溝を掘り、土を少し戻し、その上に苗を置き、さらに土を戻し苗を埋める「溝内浅植え」です。

For transplanting, “shallow planting in the furrow” is the only option—deep planting is incorrect. (Ebiimo 09)

The standard transplanting technique involves digging a planting furrow, partially refilling it with soil, placing the seedling on top, and then covering it with more soil to complete the “shallow planting in the furrow” method.