京都府の新たな耕畜連携の取組みとして、京野菜専用の鶏糞ペレット肥料が検討されており、海老芋の基肥への活用が有望視されています。(海老芋44)

鶏糞利用の新研究で肥料づくり
耕畜連携の取組みは以前から進められていますが、どうしても畜産で発生する産業廃棄物の処理が見え隠れしていました。「うんこを田んぼや畑に捨てる理由付け」などと悪口を言う人もいました。
畜産側が「まともな完熟堆肥」を自分で作るのはコスト的に合わないので、どうしても「うんこに近い資材」になってしまいますから。
京都府でも、土づくりと称して田んぼに牛糞を撒く話が進められようとした時は、農家や研究者から「元肥に窒素分を入れすぎる」と猛反対が起きたため、現在は折衷案の1t/10aとなっています。
それでも、たいていの農家はコンバインから出る藁をすき込んで土づくりしているので、余分なことはやめてほしいのですが。石灰窒素も撒いてますし。
そんな評判の悪い耕畜連携ですが、畜産関係者も良かれと思って進めているので、なんとか喜ばれる方法を模索してきています。
そんな中、新たな活用方法として「鶏糞主体のペレット肥料を作るので使ってもらえないか」という案が出てきました。
鶏糞は鶏舎の床にどんどん溜まっていきますし、焼いて容積を小さくしても溜まることにはかわりありません。
一部の農家は「すばらしい資材」と言ってくれますが、産廃は産廃ですから処理方法には制限がたくさんありコストがかかるわけです。
そこで、定期的に大量に発生する鶏糞を稲や野菜で使おうというわけです。今までとの違いは「肥料として登録したものを持って行くので使ってね」。
これなら検討してもいいかもしれませんね。
*京都耕畜連携システム構築事業(京都府畜産課)

京野菜では海老芋への利用が進む
最初の現地試験は2023年で、やはりというか水稲への活用でした。水田なら野菜とはケタ違いな普及面積が見込めますからね。
*京都耕畜連携システム構築事業の取組(京都府畜産課)
水稲への活用にめどが立ったため、次は野菜です。ところが、計画をよく見ると用途は「京野菜」となっています。
水稲のみの技術は補助金的に説明しづらいため、野菜特に説明しやすい京野菜で計画が膨らまされて承認されていたのでした。でも、現場の声は「聞いてないし」。
というわけで、畜産センターは本体の農林センターに相談し、実証試験は農林センターの研究圃場で行われることとなりました。
農林センターのお勧めにより品目は海老芋になり、海老芋専用肥料を試作して栽培への影響・効果を調べることになったのです。
しかし、ここで心配事が現実に。研究機関での栽培方法は、かつての伝統栽培ではなく「現地で普及している現場技術」を用いることになり、現地の謎技術が入り込む可能性が出てくるからです。
と思っていたら、やっぱりそうなりました。現地とは「謎技術の聖地」中丹地域だったからです。(技術検討に熱心ですばらしいのですが、他地域に比べ儲かっているとは言い難いのが困りもの)
案の定、使う場面から疑問符が出てきました。「追肥」に使うというのです。ところが、鶏糞主体なので成分が少なく偏っています。
それを矯正するため高価な肥料を足すこととなり、すごくコスト高な肥料になりました。
なぜこんなことが通ったのかというと、実証する効果が「省力・軽労化」だったからです。つまり、楽になるならコストは度外視ということ。
成果報告を見ると、処分コスト減(畜産側)と散布労力軽減(野菜側)がうたわれています。しかも、基肥と違い追肥の施用量なんて知れているので、労力軽減と言われてもねえ。
*環境にやさしい京野菜生産に活用できる畜産ペレット肥料を開発(京都府畜産センター)
当然、突っ込みが入りました。あたりまえですよね。というわけで、畜産センターは相談先を丹後地域に変えることに。そこなら、儲けにこだわる地域なので「実用性の高い技術」として説得力が違います。
その結果、使用する場面から大変わりし、追肥ではなく基肥に変更です。基肥の鶏糞の全層施肥を改善するというもので、これなら3つのメリットがありそうです。
1つ目は、ペレット化により散布量が少なくなること。さらに、粒状なので機械で散布しやすくなること。さらにさらに、飛散しにくくなることです。
2つめは、ペレットに加工する過程で匂いが無くなること。以前、昼前に散布し午後にすき込もうとしたため、近隣住民から「臭くてご飯が食べられない」と苦情が出ましたが、ペレットなら散布後すぐにすき込まなくても悪臭騒ぎは無さそうです。
3つめは、ペレット化だけなら「すでに製品化」されていますが、製造過程で「資材を混ぜ込める」こと。混ぜるのは、追肥試験で行った「高価な肥料」ではなく「安価な単肥」。
京都府の海老芋栽培では、基肥としてCDUの局所施用を行っていますが、すぐには肥効を出さない単肥を混ぜてCDUをケチることができれば低コスト化につながります。例えば尿素とか。
というわけで、今年度から検討が開始されています。試験結果がまとめられ公開されるのは少し先かもしれませんが、なかなか良い方向なので注目して待ちたいですね。
*えびいも用畜産堆肥 ペレット肥料を タスクチームで 散布実証(京都府畜産センター)

“For the base fertilizer, chicken manure pellet fertilizer is used for Kyoto vegetable Ebi-imo.”
As part of Kyoto Prefecture’s new initiative to promote closer cooperation between crop and livestock farming, a chicken‑manure pellet fertilizer specifically formulated for Kyoto vegetables is currently under consideration, and its use as a basal fertilizer for Ebi‑imo is viewed as highly promising.
