万願寺とうがらし

もうけたいならV字整枝一択②仮支柱で活着促進・風対策はウソ(万願寺とうがらし12)

 市場出荷をするなら「主枝3本V字整枝」が最適です。この記事では、活着を助け初期生育の遅延を防ぐ「仮支柱」について説明します。

仮支柱の設置方法

 「仮支柱」とは、定植した苗に添えて立てる短い棒のことです。棒は株元から少し離して斜めに刺しましょう。これは、株元に刺すと根鉢を傷つけてしまうからです。
 根鉢部分に直立させている方もおられますが「根を傷つけていいわけありません」からやめましょう。

 設置方法は、棒を「うねと平行」で「茎の分枝部近くで交わる」よう「斜め」に刺しましょう。この交わったところが「ヒモでくくる場所」になります。

 うねに平行に刺すのは、不織布トンネルに引っかからないようにするためと、サイド換気で入ってきた風で株が傾くのを防ぐためです。
 また、分枝部近くで交わらせるのは、風が吹き込んだ時「揺れる地上部を少なくする」ためです。この揺れの影響については次の項目で説明します。

 棒を刺したら、苗と棒をヒモでくくります。このとき「8の字を書くように」1回ひねってくくりましょう。気をつけるのは「きつく締めない」ことです。締めすぎると、茎が太くなった時ヒモが食い込んでしまいます。

仮支柱の効果

 おそらくですが、かなりの方が「仮支柱」の役割を間違えているようです。「仮支柱」の効果は、地上部が風で痛むのを防ぐためではありません。

 ハウスの中で地上部が痛むような強風が吹くことはありません。定植後はトンネル被覆しますし、トンネルをはずしてもサイドには防虫ネットが張ってあるため換気レベルの風力です。また、トンネル被覆を風が来る方の半分だけ残す「半がけ」という対策まであります。

 ついでに露地についても書いておくと、確かに春は強風が吹きやすいですから地上部が大きな被害を受けることがあります。しかしこの被害は「仮支柱」では防げません。株をしっかり固定したとしても葉や茎が痛むのは防げないからです。

 ではどんな効果を狙っているかというと「根鉢の揺れ軽減」です。

 定植後の根鉢からは根がうねの中へ伸びていこうとします。これが「活着」と呼ばれる現象で、定植後の良好な生育には「活着」を順調におこなわせることが大切になります。

 しかし、「根鉢」から根が伸びかけているときに、地上部が大きく揺れるとどうなるでしょう。地下の根鉢も揺れてしまい、せっかく伸びてきた根が切れてしまいます。これでは「活着」が遅れ、生育の停滞をまねいてしまいます。さらに「土壌病害」に感染するリスクも高まるでしょう。

 そこで「仮支柱」の出番となります。茎に添え木をすることで、地上部が揺れても「根鉢」が揺れることを抑制できます。

 ここで「分枝部近くでくくる」ことが大切になってきます。「分枝部」はヒモでくくれる一番高い位置だからです。「くくったところが揺れの支点」になるため、高い位置でくくるほど「根鉢」の揺れが抑えられます。

まとめ

 「仮支柱」を設置することで、根鉢から伸びていく根へのダメージが軽減され「活着促進」や「土壌病害リスク低減」につながります。設置方法は、短めの棒を「うねと平行」で「茎の分枝部近くで交わる」よう「斜め」に刺しましょう。

If you want to make a profit, V-shaped pruning is the only choice. (2) Promote root establishment with temporary stakes—wind protection is a myth. (Manganji tōgarashi 12)

By installing a temporary support stake, you can reduce damage to roots extending from the root ball, which helps promote establishment and minimizes the risk of soil-borne diseases. To set it up, insert a short stake diagonally so that it runs parallel to the ridge and intersects near the branching point of the stem.