この記事では、海老芋の生理障害を防ぐ石灰資材について説明します。

石灰資材は何が良い??
前回の記事で少しふれましたが、海老芋に石灰資材をほどこす目的は「カルシウム補給」です。生育後半でカルシウムが欠乏すると、子イモの芽はつぶれませんが孫イモやひ孫芋の芽が生理障害をおこし「芽つぶれ症」が発生しやすくなります。
京都府の規格「こえびちゃん」は孫芋・ひ孫芋をブランド化した商品ですが、「芽つぶれ症」をだしてしまうと出荷できなくなってしまいます。
適正pHにすることに目をうばわれ「土壌診断してみたらpHは適正値だったので石灰資材は入れません」というのはダメです。簡易キットで圃場のカルシウムをはかるのは無理なので、足りてるかどうかの判断はしていないはずです。
こんな時は保険をかけるとわりきって、土作りの時には必ずカルシウム資材を入れておくことをおすすめします。
では、使用する石灰資材は何が良いのでしょうか。答えは「有機石灰」つまり「カキ殻資材」です。
*参考「粒状セルカ」卜部産業株式会社
苦土石灰はたくさん使えない
サトイモのマニュアルには、好むpHは「6.0~6.5」と高めに書いてあるため、石灰資材の役割は主にpH矯正中心に記述されており、たいてい「苦土石灰」を使うよう書いてあります。pHを0.5上げる計算で「100kg/10a」くらいでしょうか。
しかし、「苦土石灰」は緩効性なので「もっと入れてもだいじょうぶ」などとは書いてありません。「苦土石灰」は工業製品ですから「正味の炭酸カルシウム」でできています。緩効性といっても生育前半からじわじわ効果があらわれ、pH矯正が始まり進んでいきます。たくさん入れてしまうと止めようと思っても止まりません。
つまり「しっかりカルシウムを入れたい」と思って多くほどこしてしまうとpHを高めすぎてしまう危険性があります。そして、圃場pHが6くらいある時は「カルシウム入れたいけれど入れるとまずい」というジレンマにおちいってしまいます。
カキ殻資材ならたくさん使える
これを解消する良い資材が「カキ殻資材」になります。有名な商品でいえば卜部産業の「セルカ」です。
この資材の良いところは、期待する成分は「炭酸カルシウム」で「苦土石灰」と同じですが、「粉砕したカキ殻が含む炭酸カルシウム」なので「苦土石灰」よりさらに緩効性です。なにしろ貝殻ですから、たくさん圃場に入れても「苦土石灰」ほど危険ではないわけです。
これなら「150kg/10a」くらいは使用できそうです。じっさい京都府北部の海老芋農家はこのくらい入れているようです。(丹後地域はカキが特産なので食べた後の殻を粉砕したSDGs的資材を作っています)
*参考「Facebook」土之素
まとめ
海老芋の好適pHは高いので、石灰資材として「苦土石灰」を使いがちですが、施用量に制限があるため、もう一つの目的の「カルシウム供給」には使いづらい資材です。
そのため、たくさん施用できる資材として「カキ殻資材」をおすすめします。
Be cautious with dolomitic lime—it’s not about pH correction. (Ebiimo 03)
Since Ebiimo prefers a higher optimal pH, “magnesium lime” is often used as a lime material. However, due to its application limitations, it is not ideal for fulfilling the secondary purpose of “calcium supply.”
Therefore, “oyster shell material” is recommended as a resource that can be applied in larger quantities.