このシリーズでは、来年度の栽培の出発点となる種芋の貯蔵について、気をつけるべき4つのポイントを紹介します。今回は、種芋の貯蔵終了時期についてです。(海老芋41)

定植日は自動的に決まる
海老芋の収量を高めるには、生育期間を「その産地で最大化させる」ことが必須です。この生育期間とは「活着から孫芋の肥大停止まで」が具体的な正解です。
「活着」というのは、定植後に根が「根鉢」から圃場内へ出ていくことを指し、そこには「定植」と違う意味が存在しています。
定植は苗を圃場に植え付けることですが、この状態では根は根鉢(育苗鉢内の根)に留まっています。
地上部を苗の段階より大きく生長させるためには、圃場内に根を伸ばさせて基肥を吸収させる必要があります。(生長させるのが種芋の養分ではないことに注意)
こうなって初めて、本当の生育が始まるのです。
つまり、活着しなければ生育が始まらないわけなのです。

孫芋の肥大停止は産地の天候(夜温低下や降霜)により決まってしまうため、生育期間の終わりは技術的努力ではどうにもなりません。
そのため、生育期間の最大化には「いかに早く活着させるか」が大切となります。
そこで、生育期間の始まりとなる活着を早める努力がはらわれることとなります。しかし、早く定植すれば早く活着するかというと、そんなわけにはいきません。
ハウス栽培ではなく露地栽培なので、産地の場所による気候に大きく影響を受けるからです。
そのため、少しくらい低温でも活着するよう、産地ではトンネル被覆など様々な「活着促進技術」を駆使しています。
しかし、それでも、地域の気候により定植前進化が可能な時期には限度があります。京都府でも、暖かい山城地域は3月下旬に定植可能ですが、春の遅い丹後地域では4月下旬が限度となります。
京都府の各産地では、生育期間を最大化させるため「限度となる時期に定植する」ことが励行されています。つまり、「地域により定植日は自動的に決まる」わけなのです。

定植日が自動的に決まるので、育苗開始日も自動的に決まる
では、種芋貯蔵と活着とはどんな関係があるのでしょうか。実は、定植前進化には貯蔵終了時期がとても大きくかかわってきます。
「え?その前に育苗期間が関わっていないの?」はい、気にしなくていいです。なぜなら、育苗期間は「泣いても笑っても3週間」だからです。

活着促進技術の一つに「健苗定植の励行」、言いかえると「老化苗定植の禁止」があります。「育苗管理の健苗育成」とは少し違うので注意してください。(真面目に育苗管理するのは当然の作業なので技術ではありません)
健苗の逆の老化苗とは、育苗期間が長すぎて根鉢が育苗鉢にギチギチに詰まってしまった状態の苗のことです。つまり健苗とはこの逆、育苗期間が適正で根鉢がギチギチに詰まっていない状態の苗です。
この育苗期間は育苗鉢の大きさで制限され、一般的な「10.5cm鉢なら3週間」が限度になります。このことが「育苗期間が自動化される」理由になっています。
ところが、最近広まっている謎技術では45日などと長期育苗が推奨されています。しかし、こんな長期育苗を行うには超大型の14cm鉢が必要になり現実的ではありません。
なお、この技術は京都府で昭和期に行われた水田農業確立対策における麦間海老芋のための技術です。
ここで、日程に制限が加わります。つまり、早期定植の限度が地域により決まっていますから、育苗期間が3週間ということは「育苗開始日=定植日-3週間」となりますね。
ところが、定植日は自動的に決まるため、育苗開始日も自動的に決まってしまうことになります。
なお、根鉢についてだけ書きましたが「葉の枚数は?」と思う方もいるでしょう。はい、どうでもいいです。
育苗中に開いた葉より、定植後に開いた葉の方が大切なので「定植時の枚数」は気にしなくてかまいません。下の写真を見れば最初の3枚がどうでもいいとわかりますよね。

そして、定植後すぐに新葉を展開させるには早期の活着がかかせません。つまり、葉より根が大事なのです。葉なんて2枚開いていれば大丈夫、なんなら1枚でもかまいません。
葉数が少ないからと言って「もう少し育苗しよう」なんて考えたら、葉より根の方が動きが早いので老化苗一直線です。
貯蔵終了日は催芽方法により決まる
頂芽は動き始めるまでに時間がかかるため、育苗開始までに動かしておく必要があります。これが「催芽処理」です。
では、育苗を開始できる「種芋の頂芽が動いた状態」とはどんな感じでしょうか。それは、頂芽が「1cm以上動いた状態」となります。下の写真がその状態です。

では「催芽処理の期間」はというと、残念ながら自動的には決まりません。処理方法により、種芋が育苗開始状態になる日数が違うからです。
言いかえると、「処理方法により貯蔵終了日=催芽開始日が異なる」です。そのため、催芽をどのように行うかを種芋貯蔵時に決めておくことが重要となります。
催芽処理の方法には、次の3種類があります。ただし、1つ目は処理期間が読みにくいのでお勧めできません。
①種芋を毛布でくるみ、ハウス内や母屋の縁側など暖かい所に置く(処理期間1か月以上)
*以前書きましたが電気毛布の使用は厳禁です。
②水稲の育苗機で、乾燥状態を維持し、ヒーターで加温する(3週間程度)
③ハウス内に育苗床を設置し、乾燥状態を維持し、温床線で加温する(3週間程度)
②と③の乾燥状態の維持とは、②は水蒸気で加温する時③は床の水分で熱を伝える時に、高湿状態で発根するのを避けるための対策が必須ということです。
なお、これらの詳しい説明は別の記事で紹介予定です。
以下のまとめを参考に貯蔵終了日を決めましょう。
①4月下旬で、定植日を決める。
②その約3週間前で、育苗開始日を決める。
③催芽処理方法を決める。
④決めた催芽処理の日数をさかのぼり、催芽開始日=貯蔵終了日を決める。
⑤貯蔵終了日に間に合うよう、催芽準備を終えておく。
(例)4月20日に定植する
⇒育苗期間は約3週間なので、育苗開始日を4月1日とする
⇒育苗機加温なら催芽期間は3週間程度なので、催芽開始日を3月10日とする
⇒3月10日までに育苗機が稼働できるようにしておく
Kyoto Vegetables – Ebi-imo
Seed Tuber Storage (3): Optimal Storage Conditions (Part 3)
How Long Should They Be Stored?
In this series, we introduce three key points to keep in mind when storing seed tubers—the starting point for next year’s cultivation.
This installment focuses on determining the appropriate timing for ending the storage period.
