金時にんじん

【京野菜の作り方】梅雨入りしたら圃場準備・太陽熱抑草の出番(金時にんじん01)

この記事では、金時にんじん等の秋冬根野菜で採用されている「太陽熱抑草」の最適開始時期について紹介しています。

「太陽熱抑草」は全く新しい技術です

 京都府では従来の「太陽熱利用による土壌消毒(施設・露地)」に加え「太陽熱抑草(施設・露地)」という新技術を開発しました。どちらも太陽の光を利用して効果を得る技術ですが「消毒」と「抑草」の違いがあります。

 前者の「消毒」は「雑草を死滅させる」ことを目的とし「大がかりで長期間」の処理が必要です。しかし後者の「抑草」は「雑草の発生を抑制する」ことを目的とし「簡易で短期間」の処理ですみます。

*参考「京都府における農作物病害虫・雑草防除について 3 環境にやさしい農業技術 (1)物理的防除」京都府農林水産部

 「太陽熱抑草」の手順は次のとおり簡単なものです。

  ①土づくり資材と基肥を施用する。
  ②圃場を耕耘し、うね立てと同時に透明マルチで被覆する。
  ③時期がきたら透明マルチを除去し播種・定植を行う。

 この技術は主に京都北部で導入され、「京野菜」や「有機野菜」の農家だけでなく「開発農地」の大規模農家でも活用されています。(開発農地というのは山林を切り開いて作られた大規模圃場で、丹後には53団地・512haがあり京漬物の原材料となる加工野菜などが栽培されています)

*参考「ひらけゆく農地 のびゆく丹後」一般社団法人 農業農村整備情報総合センター

 このように多様な農家から支持されているのは、3つの大きなメリットがあるからです。

 ① 圃場には雑草がはえないので、除草剤が不要となる。
 ② いつでも播種・定植できるほ場条件(水分も)を保存できる。
 ③ うねごとにビニール被覆するので、降雨の影響を受けず計画的な播種・定植作業ができる。

「金時にんじん」の実施タイミングについて

 「金時にんじん」は梅雨明け前後に播種します。そのため降雨により「うね立て」や「播種」の延期がありました。播種が8月にずれ込むと、発芽不良や奇形根のリスクが高まってしまいます。

 しかしこの技術が確立したことで、雨が降りやすいにもかかわらず計画どおり7月下旬に播種できるようになり、産地づくりが容易となりました。

 では「金時にんじん」向けの「太陽熱抑草」開始時期はいつでしょうか。ヒントは「播種に最適な土壌水分を保持できる」です。

 耕耘作業しやすいという理由なら「晴れが続いて土が乾いている時」でしょう。しかし乾いた圃場でうね立てしてしまうと「中まで乾いたうね」ができてしまいます。
 このうねに透明マルチをかけてしまうと「乾いた状態を保持」してしまうので気をつけてください。

 では最適な時期はというと「雨が降った後晴れ間が戻り、土がやや乾いた状態になった時」です。

 「やや乾いた状態」というのは「土を手で握ると塊になるが、次第に崩れ始める」状態のこと。園芸書によく書いてありますよね。
 この状態で播種すると「鎮圧だけで発芽する」ため発芽不良を防止できます。

まとめ

 「太陽熱抑草」は雑草の発生を抑えるだけでなく、播種作業を計画的に行うための技術でもあります。「金時にんじん」は降雨の多い7月下旬に播種するため、最適な圃場準備技術と言えます。

Once the rainy season begins, it’s time to prepare the fields and utilize solarization for weed control (Kintoki carrot 01).

“Solarization for weed control” is not only a technique to suppress weed growth but also a method for planning seeding operations efficiently. Since “Kintoki carrots” are sown in late July, when rainfall is abundant, this approach is considered the optimal field preparation technique.