伏見とうがらし

京野菜【伏見とうがらし】プロの栽培暦教えます(ハウス栽培)②整枝法~高温対策

 この記事では、伏見とうがらし栽培(ハウス栽培)の全体像を実践的に把握できるよう、京野菜のプロが行っている栽培技術を栽培暦の形で、2回に分けて紹介します。(伏見とうがらし02)

栽培技術④ 簡易V字整枝で省力管理

●「簡易」と付くのは、剪定を簡易にしたため。
 ・伏見とうがらし勢いは強くないことに加え、弱勢台木を用いているため剪定は逆効果。
   *京都府では、V字整枝は強勢台木を使ったナスの接ぎ木栽培として確立したため。
 ・生育後半には選定を行うが、樹形を刈りそろえるだけとする。

●トンネル除去と同時に誘引を開始できるよう、支柱は早めに立てておく。
 ・1.8m~2.1mの支柱を2株ごとにうね端両側に設置する。
  最初と最後と5本に1本は太い物を使用する。

●支柱間に太い番線(又は細い直管)を2段張りする。ひも類はたわむので使用しない。
 ・1段目は分枝部から見て45~60度斜め上方の高さに張る。
   *うね幅により高さが変わるが、1m程度を目安とする。
   *斜めの距離が長いほど、主枝の伸長が緩慢となり節数が増えるので増収する。
   *60度より急角度にすると徒長が激しくなり、節数減少により減収する。
 ・2段目は1.5m~1.8m程度の高さに張る。
   *ハウス内上層部は高温になるため、高く張っても生理障害が多発するので意味がない。
 ・誘引ひもは分枝部に締め付けないよう結んで斜めに伸ばし、1段目を経由し2段目で結ぶ。
   *主枝のみ誘引するので、誘引ひもは分枝部から左右に向け3本を設置する。

●3本の主枝を誘引ひもにからませ、斜めに誘引する。
 ・主枝の生長点が下を向くと伸長が止まるので、頻繁に巡回しこまめに行う。
 ・主枝を斜めに誘引し1段目に達したら、次は2段目に向けて垂直に誘引していく。
   *主枝の長さで取るトマトとは違い、側枝が形成する場所で取ることに注意。
 ・2段目に達した主枝は、自然に下垂し生長が止まるので放任でかまわない。
   *摘芯作業は不要となる。

●側枝は放任を基本とする。
 ・過繁茂時のみ剪定するが、ルールは無く適宜実施する。
   *過度の剪定は、葉数減少による日焼け果増加につながる。
   *耐病性台木は弱勢のものが多いので、かん違いによる強剪定に注意する。
 ・うね中央部は梅雨明けから繁茂しやすくなるため、強剪定を行いV字の谷を維持する。
   *主枝の形をV字に誘引した後、茂りもV字にしないと整枝は完成しない。
 ・V字の谷部分が開花スペース、通路側が着果スペースとなる。

栽培技術⑤ 最も簡易な主枝1本整枝も紹介

●トンネル除去と同時に誘引を開始できるよう、定植後に支柱は早めに立てておく。
 ・1.8m~2.1mの支柱を、2株~3株ごとに株間に設置する。
   *繁茂後の樹体の重さで容易に傾かないよう、土中への打ち込みは30cm程度とする。
   *支柱が刺さり難い時は、バール等で穴を開けてから差し込む。
 ・最初と最後と5本に1本は太い物を使用する。

●支柱間に太い番線(又は細い直管)を4段以上張る。
 ・ひも類はたわむので使用しない。
   *反対側の果実が取り難くなるので、ネットによる誘引は絶対にしない。
 ・1段目は、主枝伸長時に遅滞なく誘引できるよう、苗の少し上に張る。
 ・2段目以降は、1.5m~1.8m程度の高さまで等間隔に張る。
   *ハウス内上層部は高温になるため、高く張っても生理障害が多発するので意味がない。

●主枝のみ誘引するので、誘引ひもは1株に1本とする。
 ・誘引ひもは分枝部に締め付けないよう結んで直情に伸ばし、各段を経由し最終段で結ぶ。
 ・ひもがピンと張るよう、さらに左右に動きにくいよう、各段を経由する時に工夫する。
   *京都府ではナスの誘引方法と同じ。

●主枝を一本のみ誘引する。
 ・一番良好な主枝のみ誘引し、他の主枝は側枝同様に誘引せず放置する。
   *4本仕立ては根量と地上部が釣り合わず、生理障害発生リスクが高まるので行わない。
 ・V字整枝に比べ主枝がずり落ちやすいので、誘引結束機等でしっかり固定する。
   *参考:誘引結束機「テープナー」マックス株式会社
 ・最終段に達した主枝は、自然に下垂し生長が止まるので放任でかまわない。
   *摘芯作業は不要となる。

●生育前半は側枝の剪定は行わず、梅雨明け頃から適宜開始する。
 ・繁茂が進み通路が通りにくくなった時を剪定開始の目安とする。
 ・選定方法は、うね幅からはみ出た部分を機械的に切除するだけで良い。
   *V字整枝と違い、うね幅の空間が開花と収穫のスペースとして共用するため。
    トマトのように主枝の長さで取るのではなく、空間で取ることが特徴。
   *(よく言われている)過度の剪定は、日焼け果が発生しやすくなるので行わない。

栽培技術⑥ 夏を乗り切る梅雨・猛暑対策

<梅雨対策>
●梅雨入り前に排水路を点検し、排水が滞りそうな場所は修理しておく。
 ・ハウス周辺は排水路を含めビニール被覆を行い、ハウス内への浸透を防ぐ。
 ・排水路は深さより勾配を重視し滞水を防ぐ。
   *水がたまった場所を埋めるのも対策となる。

●繁茂すると横方向の空気の動きが遮られ過湿になるので、縦方向の換気(妻換気)を行う。
 ・サイド換気は効果が無くなってくるので、降雨状況により閉じてもかまわない。
 ・入口ドア以上の高さまでの妻面をネットに張り替えると、空気が縦方向に動く。
 ・株元は過湿になりやすいので、古葉を除去し風通しを良くする。
 ・降雨時は妻窓を昼夜問わず開放する。
   *夜間のタバコガ飛来防止のため、ネット被覆は必須。

●着果量が増え樹勢が衰えやすくなるので、曲がり果等の奇形果は見つけ次第摘果する。
 ・葉色やめしべの長さなどを観察し、肥切れが見られたら追肥間隔を狭める。

●病害虫の発生は、ほとんどが梅雨の間に起こるので、本格的な予防防除を開始する。
 ・特にハダニとうどんこ病は梅雨に発生するので、手遅れにならないよう防除する。

<猛暑対策>
●梅雨明け後は、強日射緩和のため遮光資材でハウスの天井を覆う。
 ・被覆資材は、遮光ではなく遮熱の高い資材を用いる。
   *遮光率は20~30%にとどめ、遮熱率90%程度の高機能資材を用いる。
   *遮光率40%以上の資材は、徒長を促すわりに遮熱効果が低いので使用しない。
 ・秋に被覆を続けると逆効果になるので、9月に入れば天気予報を見て除去する。

●梅雨と同様に妻換気重視とする。
 ・夜温低下を図り、尻腐れ等の生理障害を防ぐ。

●剪定を開始するが、樹形を整える程度とし、過度に行わない。
 ・V字整枝では、谷が繁茂で埋まらないように刈り込む。
 ・1本整枝では、通路が通れるように刈り込む。
 ・V字整枝は果実に日陰を作りやすいが、1本整枝は日陰が少なくなるのでやり過ぎに注意。

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“Professional Cultivation Calendar for Kyoto Vegetable Fushimi Togarashi (Greenhouse Production)”

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