京都北部で海に面する伊根町は漁業を中心とした町で、「舟屋」の景観や女性杜氏の地酒など観光資源も豊富です。また、伊根町は海に面した集落以外はほぼ山なので、山の幸にも恵まれています。今回は、伊根町に伝わる山菜の保存方法を詳しく紹介します。(海の京都12)

伊根では意外と里ゃ山の幸がありがたい
以前、伊根町の郷土食を調べたことがあるのですが、漁村のイメージから海の幸自慢ばかりかと思ったら、米や野菜や山菜が一段上のあつかいで驚いたことがあります。
米や野菜は水田や畑の面積が少ないので収穫量が少なく、山菜は季節限定で山に入っていかないと取れません。目の前に広大な海があるので、手に入れやすい海の幸より重宝されてきたようですね。
今回は、そんな伊根町で聞き取った昔から伝わる山菜の貯蔵方法を紹介します。
干しワラビ
①採取
・ワラビは手で採取します。
この時ポキッと折れる所から上が食べられる部分です。ここより下は硬くて食べられません。
食べられる所だけ収穫するには手で行うのが一番です。
・採取したワラビはすぐに硬くなっていくので、できるだけ早くあく抜き処理を行いましょう。
②あく抜き
・1リットルの熱湯にひとつかみの「草木灰(そうもくばい)」を入れ、上澄み液を作ります。
園芸用の「草木灰」は食用ではないので、使用しないでください。
この上澄み液は、一般に「灰汁(あく)」と呼ばれています。
代用品としては「重曹」が使われたりします。
・なるべく大きな鍋にワラビを入れ、「灰汁」をたっぷり注ぎます。
この後、お湯が冷めるまでそのまま放置します。
・お湯が冷めたら、流水に3時間くらいさらします。
③天日干し
・スダレ等の上にワラビを広げて日に当てます。
・ワラビがカラカラになるまで乾かします。
④戻し方
・干しワラビを大きな鍋に入れ、たっぷりの水を加えて加熱します。
水温が50℃くらいになったところで火を止めます。
そのまま冷めるまで放置します。
・鍋の水を変えて、6時間くらい浸けておきます。
干しゼンマイ
①茹でる
・ゼンマイに付いている綿状のものをきれいに取り除きます。
ワラビと同じく、時間がたつほど固くなるので手早く処理しましょう。
・鍋にゼンマイを入れ水を入れます。
入れる水の量は、ゼンマイ高さの2倍が目安です。
ゼンマイを取り出し、水を加熱し沸騰させます。
・沸騰したらゼンマイを戻します。
再び沸騰したらゼンマイを取り出します。茹で過ぎに注意しましょう。
②天日干し
・茹でたゼンマイをスノコ等の上に広げて乾燥させます。
ゼンマイが重ならないよう薄く広げましょう。
・ゼンマイが生乾き程度になったら、両手でよくもみます。
・ゼンマイがカラカラになるまで十分乾燥させます。
よく乾燥したゼンマイは、かなり長く保存できます。
③戻し方
・たっぷりの水に3日くらい浸けます。
・浸けている間に、3回以上水を替えましょう。
水を替えるたびに、手で軽くもみます。
・ゼンマイが真っ直ぐになったら出来上がりです。
・水ではなくお湯で一気に戻すと、風味が落ちるのでやめましょう。
干しヨモギ
①「唐ヨモギ」とは
・伊根町には「唐ヨモギ」と呼ばれるヨモギがあります。
・伊根町には浦島神社など浦島太郎伝説の聖地ですが、徐福伝説も伝わっています。
この徐福が「唐ヨモギ」をこの地に伝えたのだという話です。
・こんないわれもあることから、伊根町はヨモギを使ったものが結構あります。
お菓子で有名なのは、超巨大アズキ菰池大納言を使ったヨモギ餅でしょうか。
干しヨモギを煎じたものは、健胃や虫刺されに効くのだとか。
*参考:日本最古の「浦島伝説」が残る京都・伊根(海の京都観光圏)
*参考:徐福を祀る新井崎神社(京都府観光連盟)
*参考:薦池(こもいけ)大納言で地域振興☆(農林水産省近畿農政局)
②茹でる
・ヨモギの根を切り、汚い葉を取り除き、ていねいに洗います。
・たっぷりのお湯を沸かし、塩を入れます。
入れる塩の量は、1リットル当たり2グラムが目安です。
・沸騰したらヨモギを入れ、3分間茹でます。
茹で過ぎに注意しましょう。
・茹でたヨモギを冷水に取り、1時間浸けておきます。
点けている間に、3回水を替え、しっかりとアクを抜きます。
③干す
・ヨモギを固く絞り、スノコ等に広げ、乾燥させます。
置く場所は日向ではなく風通しの良い日陰とし、陰干しにします。
・良く乾いたら、湿気を防ぐ容器に入れ保存します。
④戻し方
・熱湯で2分間茹でるだけで戻ります。
茹で過ぎには注意しましょう。
冷凍ヨモギ
長期保存には向きませんが、摘んだ時の風味を楽しむには冷凍する方法もあります。
①茹でる
・干しヨモギと同様に、根を切り、汚い葉を取り除きます。
・茹で方や、アク抜きし硬く絞るところまで、干しヨモギと同様です。
ただし、茹でる時間は「サッと」程度ともっと短くしましょう。
・ジップロック等の冷凍用のビニール袋に、なるべく平らに入れ密封し、冷凍します。
平らにすることで、均一に凍ります。
②戻し方
・2か月くらいは、摘んだ時の風味が残っています。
これより長く保存できますが、香りがどんどん抜けてしまいます。
・解凍する時は、凍ったまま熱湯に入れ、使用目的に合った硬さまで茹でます。
冷凍前にサッと茹でるのは、色々な用途に使えるようにするためです。
・冷凍期間中に、茹でた時より少し柔らかくなっています。
柔らかくなり過ぎないよう、硬さのチェックをしながら解凍しましょう。
“Sea of Kyoto: Traditional Methods for Preserving Wild Mountain Vegetables, Taught by the Grandmothers of Ine”
Ine Town, located on the northern coast of Kyoto Prefecture, is a fishing-centered community known for its iconic funaya boat houses and locally brewed sake crafted by female master brewers—both of which make it rich in tourism appeal. Beyond the seaside settlements, the rest of Ine is almost entirely mountainous, providing an abundance of edible wild plants.
In this article, we will take a detailed look at the traditional methods of preserving wild mountain vegetables that have been passed down in Ine Town.
