この記事では、海老芋の生育初期に行う「うね間潅水」のコツについて紹介します。
潅水残しがないように
前の記事で「うね間潅水」は早くからおこないましょうと書きました。では、どのくらい水をあげればよいのでしょうか。
まず注意しておくことは「均一に潅水することは難しい」ことです。たとえば「うねの一方の端が高いので乾きやすい」や「圃場の奥の方へ水がいっていない」などです。
その原因は「そうなってしまうから」と「そうなるようにしたから」の2つがあります。
「そうなってしまうから」は、トラクターで耕耘するときどうしても「土を引っ張ってしまう」ので「行った先が高く」なりがちなことです。
「そうなるようにしたから」は、全ての溝に勾配をつけ排水口に向かって水が流れていくように「排水対策をおこなった」からです。
では均一に潅水することは難しいのでしょうか。答えは「均一は考えず、圃場全体が湿ればよい」です。水が行かない場所さえなければよいのです。
潅水は「量」ではありません
ここで気になるのが「どのくらい水がたまったか」と「量」を目標にしている方が多いことです。海老芋は水をたくさんほしがるから「たっぷりやらなければ」と思い、水がなかなか行かない場所を基準に潅水量を考えがちです。
そのため「水がたまりやすい場所のうねが水没する」こともあります。これで海老芋が痛むことはありませんが、一番よくない考えが「これだけたっぷりやっているのだから回数は減らしてもよい」です。
潅水は水分供給のほかにも色々な効果をもたらします。ですから回数を減らすのは厳禁です。
「湿りライン」とは何でしょう
しかし、たっぷりやる方の間隔は1~2週間に1回くらいでしょうか。しかしこれでは生育が悪化しないまでも促進はむりです。
しかしここで「少量潅水でも水分は株にとどいている」と考えを変えてください。少量なら回数を増やせます。ではほんとうに株に水がとどいているのでしょうか。

うね間潅水をおこなうと「うねの肩に湿りのライン」がつきます。このラインは「ここまで水がたまった」という印になりますね。
しかしこのラインは、もっと大切な情報をあらわしています。それは「このラインはうねの中までつづいている」です。そして「株間で届いている」ことを保証しています。
つまり、うねの肩にラインができる程度の潅水でも「広いうね全体にしっかり水分が供給された」=「効果的な潅水」ができているわけです。
ただし、通路だけ濡らす程度では足りません。うねの肩にしっかり湿りラインが確認できるくらい水をためてください。
これなら回数を増やしても労力はそれほどかかりませんね。では、どのくらいの回数が良いのでしょうか。
「梅雨まで」のうね間潅水なら「通路が乾いたら実施」です。ただし「梅雨明け以降」は話が別になります。
まとめ
うね間潅水は「通路が乾いたら行う」を判断基準とし「量より回数」重視で行いましょう。ためる水量は「うねの肩にラインができる」なら十分です。
Focus on the moisture line—heavy irrigation is a myth. (Ebiimo 11)
“For ridge-gap irrigation, use ‘dry pathways’ as the timing indicator and prioritize frequency over quantity. The appropriate water amount is sufficient if a moisture line forms on the ridge shoulder.”
Let me know if you’d like any refinements!