海老芋

京野菜【海老芋】プロ農家が教える栽培のポイント(10月①収穫の準備)

 暦どおりの生育をしていれば、収穫の開始は10月後半からとなります。そろそろ収穫と出荷の段取りを始めましょう。(海老芋66)

 9月は「子芋の肩張り」と「こえびちゃん肥大」の時期でしたが、10月に入ると平均気温がさらに低下するため、そろそろ収穫と出荷に向けた段取りを考えておく時期になります。

 段取りの内訳は、産地によって違うと思いますが、だいたいこんな感じだと思います。

①収穫機材の準備、調整・貯蔵場所の設置
②試し掘り
③収穫開始日の決定、市場への通知
④出荷日程の決定、規格目合わせ
⑤収穫開始
⑥収穫(機械掘り取り、親芋割り、荒く分割、コンテナ詰め)
⑦芋分割⇒荒選別(秀・丸、それ以外の子芋、孫・ひ孫芋)⇒茎の仮切除⇒仮貯蔵
➇採種株の種芋を貯蔵⇒足りない時は普通株からも選別
➈秀・こえびちゃんの調製(茎の本切除、芋磨き、箱詰め)⇒出荷
⑩収穫終了日の決定
⑪出荷終了日の決定、市場への通知

●収穫開始日について

 収穫開始日は「茎葉の傷み具合」と「試し掘り」で決定します。「気温の下がり具合い」については、例年からそんなに大変わりはしません。
 もう一声太らせたいからなるべく遅くしたいなあ的な「いつ頃から」ではなく、ピンポイントに「10月中下旬の何日から」を決めましょう。

 いくら晩生品種の唐の芋といっても、10月後半になれば孫芋・ひ孫芋の肥大は止まります。いくら粘っても、こえびちゃんの階級は上がりません。
 気温で気にするべきは、11月の「早霜」だけです。

 10月後半になっても、茎葉がまだまだ元気な場合がありますが、「子芋の肩張りは9月に終わっている」と「こえびちゃんの肥大も10月後半の気温では止まる(平均気温15℃以下で休眠)」ため、決めるのは「10月後半の何日から収穫する」です。
 海老芋は出荷調製に手間がかかるので、早めから収穫を開始しないと年内出荷できなくなります。

 なお、年明けの出荷が高値のこともあるため、のんびりと長期間出荷する方がおられますが、プロ農家なら「年内に出荷を終えて1月中に収益を確定」させましょう。(1月の高値は量が極端に少ないからでしょう)
 余談ですが、海老芋の需要は正月だけではないのはそのとおりです。しかし、2月以降に供せられる海老芋は、農家がヘタな貯蔵を駆使して長期出荷しているからではなく「料理屋さんの保存技術のたまもの」ですから、とっとと年内に出し終わりましょう。

●収穫終了日について

 11月上旬になると、茎葉がヘタってきているので、圃場に終り感が出てきます。子芋の肩張りはとうの昔に終わっていますし、こえびちゃんも休眠していますから、いつ終わっても収量・品質への影響はなくなっています。

 そのため、あとは収穫作業の進み具合と残りの株数を見て、「あと何回収穫作業をすれば掘り取り完了なのか」を計算します。
 ただし、クリスマスまでに終わればいいやなどと、のんびりしていてはいけません。それは、11月後半になると「早霜」のリスクが高まるからです。

 霜に当たればすぐに腐敗しやすくなるわけではありませんが、霜に当たったものを出荷してクレームキタラやだなあ等と心配するのは、プロ農家のやることではありません。
 また、霜が降りなくても、そんな天候では夜の地温がドンと下がるかもしれません。地温が3℃以下になると、芋にダメージを与えるリスクが急上昇しますから、そんな時期まで収穫していたくはないです。
 さらに付け加えるとしたら、収穫作業で圃場が荒れて排水が悪くなっているので、芋が痛みやすくなるというのもあります。
 となると、収穫は霜注意報が出る前に終わっておきたいですね。

 霜注意報がまず出ない時期というのは11月前半だと思いますので、収穫終了日は11月前半としましょう。
 ということは「収穫適期は10月後半~11月前半の1か月間」となります。そして、この収穫適期は大変わりしませんから、暦でも固定した書き方になっているわけです。

●10月初旬の出荷について

 順調に生育していれば、10月になれば収穫を行っても、結構いい感じの「秀」がとれます。10月初旬は、晩生サトイモの初物を期待している良いお客様がいますから、なかなか良い単価を期待できるでしょう。ちょっと無理をしても「中秋の名月(2026年は9月)、芋名月とも」に向けて出荷すると、とても良いことがありそうです。
 ただし、文頭に書いたように「順調に生育」していることが前提条件です。出してみたい方は、試し掘りをして作況を見てみてはどうでしょうか。

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