今年も高い確率で猛暑が予想されているため高温対策は必須です。そこで「猛暑に対応した栽培環境・栽培管理ができているかどうか」を自己診断するためのポイントを数回に分けて紹介します。今回は整枝方法の違いによるリスク変化についてです。(万願寺とうがらし25)

整枝方法からくるリスク
<基本技術>
◎「万願寺とうがらし」の整枝方法は「主枝3本V字整枝」が最も適している。
・定植時の苗の向きは、手前側に1本と2本が交互に来るようにする。
⇒長期間同じスペースで収穫をくり返すため、主枝同士を干渉させず、過繁茂を防ぐ。
・側枝は誘引しない。
⇒側枝は自然に「収穫スペース」に降りて「芯止まり」し、かじつを肥大させる。
・誘引上限に達した主枝は摘芯せず、放任する。
⇒放任しても自然に「芯止まり」するので、「摘芯」は無駄な作業。
<リスクの原因>
●主枝の2本側を同方向に定植したり、主枝数を4本にしてしまった。
・斜め誘引の終点近くで、隣の株の主枝と重なってしまい、過繁茂になりやすい。
⇒過繁茂を解消するための剪定作業は、余分な労力となる。
<対策>
・主枝が重ならないよう、中央寄りに少しスライドさせる。
・主枝4本の場合は、1本切除し、1本になった側の主枝を中央にスライドさせる。
●主枝を立て気味に誘引しているので、V字の谷間(開花スペース)が狭い。
・谷間の茂りが「V」ではなく「▼」になり、枝葉で埋まってしまう。
⇒放置すると、出荷最盛期に樹勢が衰えてしまう。
・茎葉が混みあった場所では
⇒梅雨の時期に、「うどんこ病」など蒸れによる病害が発生する。
⇒梅雨明けの高温乾燥により、ハウス内に感染が拡大する。
⇒梅雨の時期に、「ハダニ」など害虫発生の温床となる。
⇒梅雨明けの高温乾燥により、一気にハウス内に蔓延する。
・V字の角度が狭いので、茂りの下部に太陽光が届きやすくなる。
⇒茎葉による日傘効果が不十分となり、果実の日焼けが発生する。
<対策>
・主枝の角度は変えられないので、定期的に谷部の強剪定を行う。
⇒刈り込むように無造作に剪定し、V字を回復させる。
・日焼け果が多発するようなら、ハウスの天井部を遮熱資材で被覆する。
・「うどんこ病」対策は、すでに初発しているものとした薬剤防除を行う。
・「ハダニ」対策は、すでに各ステージが生息していると考え、ローテーション防除を開始する。
物理的な効果がある農薬もローテーションに組み入れる。
●主枝を立て気味に誘引しているので、主枝が徒長している。
・早期に主枝が誘引上限に達してしまう。
⇒主枝を摘芯すると、そこまでの側枝で収穫するため減収しやすい。
⇒摘芯部近くが繁茂して一見着花数が良く見えるが、下物しか取れない。
高い位置の果実は、高温により下物(曲がり、尻腐れ)となる。
<対策>
・高い位置に着果させないため、切り戻しを行い、低い位置に再生する側枝に期待する。
一度にすべての株を切り戻すと収量に山谷のクセが付くので、数回に分けて行う。
・V字はあきらめ、主枝を両側1本の2本仕立てとし、通路のみ剪定する。
2割減収を容認し、管理方法は「伏見とうがらし」の主枝1本整枝と同じで行う。
●側枝も誘引した。
・側枝を誘引したことで主枝の近くに余計な茂りを作り過繁茂になってしまう。
⇒主枝と側枝の茂りが合体し、過繁茂になる。
<対策>
・側枝の誘引ヒモを除去し、側枝を垂れさがらせ、過繁茂を解消する。
●一般的な果菜類の剪定(強剪定)を実施した。
*ここで言う「強剪定」とは、「側枝3節目の着果を確認したら3節残して摘心、収穫の終わった側枝は分枝より1節(1葉)残して切り戻す」管理方法。ナスのトルバム・ビガーのように耐病性台木=強勢台木と勘違いし、葉数の最適化を目的として行っている謎技術。
・一般的な剪定は、株の勢いが旺盛な場合を想定しているので向いていない。
⇒「万願寺とうがらし」の台木は耐病性に優れるが、強勢台木ではなく弱勢台木。
旺盛だと勘違いするのは、激しく徒長させる誘引方法を選択したから。
⇒着果数に対する葉数のバランスが崩れやすく、着果負担により生育停滞が発生する。
⇒収穫個数を自己規制するため、収穫最盛期に人為的な減収が発生する。
・葉数が少ないことにより、太陽光が果実に直接当たりやすい。
⇒果実の表面が高温になり、「日焼け果」が多発する。
・葉数が少ないことにより、葉からの蒸散が少なくなり、吸水力が低下する。
⇒果実にカルシウムが不足することで、「尻腐れ果」が多発する。
<対策>
・強剪定をやめ、側枝は放任し、葉数の増加を待つ。
・液肥による追肥は、必ず毎週実施する。(ただし薄めで)
・カルシウム剤の葉面散布は速効性が無く予防資材なので、緊急時には使用しない。
給水の正常化や過湿解消を図る方法なら、即効性はないが経費が増えない。
●1条又は2条千鳥で平面仕立てを行っている。
・主枝を多くした「主枝1本整枝」なので、過繁茂になる。
⇒過繁茂対策として強剪定を実施するので、管理作業のコストが跳ねあがる。
⇒着果数が多くなり株が成り疲れしやすいので、小果になりやすい。
・ただでさえ悪い横方向の空気移動が停止してしまうので、高温・過湿になりやすい。
⇒「曲がり果」「尻腐れ果」が多発する。
<対策>
・主枝数を2~1本に減らし、過繁茂を解消し、剪定は行わない。
・「妻面換気」は、できる限り開口面積を大きくし、縦方向の空気移動を促進する。
●主枝が誘引上限まで伸びたので「摘芯」した。
・「摘芯」部から多数の側枝が発生してしまう。
⇒株の最上部に過繁茂状態を作ってしまう。
⇒人為的な作業なので、病虫害の温床がハウス全体で形成されてしまう。
<対策>
・混みあった部分の下で選定を行い、過繁茂をリセットする。
・株上部の病害虫防除を臨時で行う。
●樹体が大きくなったので、負担を減らすため、「主枝切り戻し」を行った。
*ここで言う「主枝切り戻し」とは、「主枝3本のうち2本を70cmの高さで切り、新しく出た枝を主枝にする」管理方法。主枝の徒長リセットを目的としているが、そもそも誘引角度が立ちすぎていることから来ているので謎技術。
・耐病性台木は強勢台木ではないため、樹体回復が遅れる。
⇒側枝数を一気に減少させるため、着花数が激減し、夏期の収量を激減させる。
<対策>
・夏期の収量はあきらめ、秋期の着果数・収穫量激増に備える。
●V字谷(開花スペース)が茎葉で埋まってしまった。
・過繁茂により、花数や着果数が増えすぎてしまう。
⇒樹勢低下により、落花や落果が多発する。
<対策>
・思い切った剪定を行い、早急にV字谷を回復させる。
・液肥による臨時追肥を行い、樹勢の回復を図る。
Kyoto Vegetables – Manganji Togarashi: Professional Growers’ Self‑Check for Extreme Heat Risks (2) Pruning Techniques
With another extremely hot summer highly likely this year, heat‑stress countermeasures are essential.
In this series, we introduce key points—divided across several installments—to help you self‑diagnose whether your cultivation environment and management practices are adequately prepared for extreme heat.
In this installment, we focus on how different pruning methods can change the level of risk.

