「セジロウンカ」リスクが高まり注意報が出た時には、加工米だけでなく、主食用米の「新品種」にも注意が必要です。京都府のブランド米で言うと「京式部」です。(海の京都14)

近年「セジロウンカ」リスクが高まっているかどうかはわかりませんが、梅雨頃に時々注意報が出ています。この注意報が出た時は、農薬が箱施用されていない加工米圃場では、臨時防除が準備されることになっています。
しかし、注意報が出た時に意外とかまってもらっていないのが「最近ブイブイいわしているポストコシヒカリ品種」です。
京都府で言うとヤバいのは、特Aを取ったこともある「コシヒカリ」や「ヒノヒカリ」等の伝統的な品種ではなく、「海の京都」でも栽培が増えている最近絶賛売り出し中の「京式部」です。というのは・・・
*参考:京式部特設サイト(京式部ブランド推進協議会・京都府農林水産部農産課)
「セジロウンカ」とは
水田で毎年発生する「ウンカ」は、日本国内に土着している「ヒメトビウンカ」ですが、たまに発生するのが「セジロウンカ」と「トビイロウンカ」です。
なぜたまになのかと言うと、日本では越冬できないので「ベトナムなどの東南アジアから毎年飛来」すると発生するからです。
なので、国や各都道府県の病害虫防除所では監視体制を敷き、今年は危ないなと判断した時は注意報を発令します。
*参考:ウンカの生態と被害(クミアイ化学工業株式会社)
でも、毎年発生しないのはありがたいですよね。そして、さらに日本にとって良い理由がもう一つあります。
それは、伝統的に日本の主食用米は「ジャポニカ米」という種類で、タイ米などと呼ばれる「インディカ米」ではないこと。
なぜ「ジャポニカ米」なら良いのかというと、「セジロウンカ」が水稲に卵を生んでも、「ジャポニカ米」は卵を殺す物質を作り出しているため殺卵作用を持っいてるからです。
ところが「インディカ米」にはこんな性質はないため、「セジロウンカ」に対してやられっぱなしとなります。
*参考:水稲品種間で比較したセジロウンカの産卵数と卵の生存率との関係(九州病害虫研究会報 第46巻)
別の記事で、京都の有名味噌屋さんで使用される加工米の「オオナリ」について書きますが、このような加工米に用いられる超多収品種は「インディカ米」の性質が強いため、「セジロウンカ」の注意報が出た時は、圃場巡回調査と緊急防除が必須となります。
では、なぜ主食用米なのに「京式部」で注意が必要なのかというと、近年育種が活発になっている「コシヒカリはもう古い、これからはこの上位互換にしてね品種」だからです。
最近の新品種トレンドは「コシヒカリより美味しい」に加え「作りやすくて多く取れる」なので、育成過程で「ジャポニカ米」を主としつつ、ちょっとだけ「インディカ米」も混ぜていることが多いから。
*参考:新規需要米品種の中にはセジロウンカが増えやすい品種がある(みんなの農業広場、(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ)
「京式部」の別名は「北陸246号」という堅苦しい名前ですが、これは国と京都府で開発したため、育種には「北陸200号(みずほの輝き)」と「北陸182号」が使われています。
ということは「インディカ米」の血もある程度混じっているため、「殺卵作用」をフル装備しているとは言えないでしょう。
しかし当然、こんなことは普及センターなら知っていることなので心配していませんでしたが・・・
ところが、なんとノーマークで栽培している地域を見てしまいました。ええっと思い、研究機関が作成し導入農家へ配布している栽培マニュアルを見てみたら、そこには何も書いてありませんでした。しかも、JA主導で導入が進められたため、普及センターの指導が後手に回っているようです。これはいかんでしょう。
なので、京野菜とは関係ないのですが、「京式部」を作っている農家と話すときは「大丈夫でしょうね」と話題を振るようにしています。
と思っていたら、京都府の米どころの丹後地域で、令和6年に「セジロウンカ」の発生を許してしてしまいました。
理由は「本庁が作成したマニュアルを厳守せよ」との指示があったため、余計なことができなかったようで、係長行政の悪い面が出てしまったようですね。
もっとも、府内で一番の指導体制のある丹後地域ですから、早急に対策が確立されたとのことで安心しています。
*参考:丹後普及センターだより 第37号(京都府丹後農業改良普及センター)
[Kyoto by the Sea] Watch out for white-backed planthoppers affecting “Kyo-shikibu” rice as well.
While it is unclear if the risk of white-backed planthoppers has risen in recent years, warnings are occasionally issued around the rainy season. When a warning is active, emergency pest control is scheduled for processed rice fields where nursery box insecticides have not been applied.However, when these warnings are issued, recently developed “post-Koshihikari” varieties are surprisingly overlooked.

