大根なのに小蕪のような形の京野菜「辛味だいこん」を紹介します。水分がとても少ないので、蕎麦の薬味として活躍しました。(辛味大根01)

小蕪のような大根
「辛味だいこん」は、大根のイメージと違う外観を2つ持っています。その3つとも、ダイコンというよりコカブに似ていることです。
1つ目は根部が円筒形ではなく丸いことですが、丸いだけなら聖護院だいこんがあります。ところが、2つ目は根部が小さいことで、収穫適期でも5cmくらいしか太りません。コカブみたいですね。そして3つ目がもっとコカブに似る特徴で、いわゆる大根葉ではなくビワ葉なことです。知らない人が見たらコカブと勘違いしてしまうでしょう。
では、こんな変わった形の大根が、京の伝統野菜として今まで残ってきたのでしょうか。それは、一芸に秀でているから。名前のとおり辛いのです。
その辛さはワサビクラスで、さわやかにツンときます。なにしろ、辛み成分を調べたら、通常の大根の2倍以上でしたから。
*参考:KYOTO Vege Style・野菜図鑑・辛味だいこん(京都市産業観光局)
*参考:辛味大根の辛味臭成分 について(日本家政挙会誌 Vol. 40 No.7)
別名は吹散大根、蕎麦の薬味に重宝
ただし、いい感じに辛いだけではなく、水分がとても少ないのがすごいんです。どれくらい水分が少ないかというと、「おろし」をフッと吹くとパッと散るくらいなので、別名「吹散(ふきちり)大根」とも呼ばれていたほどです。
この「辛いだけでなく水分が少ない」という特徴に蕎麦屋さんが目を付けました。もう少し辛くしたいなと思って麵つゆにおろしを足しても、水分が少ないので「つゆが薄まらない」。麺つゆが主役なので、その味を薄めないことは薬味として優れていたからです。
そして、蕎麦の薬味としての需要が農家をつなぎとめ、京の伝統野菜として今に伝えられる力となりました。
京都の蕎麦屋さんがこの特徴に目を付けないわけありません。「蕎麦ぼうろ」の「総本店丸太町かわみち屋」では、店のウリとして扱われ、お持ち帰り蕎麦パックに辛味だいこんが丸のまま入っていました。
ただし、畑に移植され採種されたら農家が迷惑をこうむるので、生長点のある茎の付け根は切り落とされていましたが。
残念ですが「総本店丸太町かわみち屋」は今はありません。でも、もう一つの「蕎麦ほうる」の「総本家河道屋」は健在です。
そちらの「晦庵(みそかあん)河道屋」(麩屋町通りから姉小路通りに移転)では、旧京野菜六人衆のお家から辛味だいこんを仕入れていたと思いますので、季節が合えば食べることができるかもしれません。
*参考:総本家河道屋のホームページ
*参考:晦庵 河道屋(食べログ)
なお、用途として蕎麦の薬味だけなのかというと、そんなことはないかと思います。以前、特徴を調べるため栽培していた時に、色々な用途を試してみたことがあります。売るわけにはいきませんが、食べるのはOKです。
その中で一番評価が高かったのは焼肉でした。タレの薬味として良かったのですが、私には「肉に直乗せ醤油たらし」が美味しかったです。
Kyoto Vegetables – Karami Daikon: As Light and Fleeting as Falling Powdered Snow
Let me introduce Karami Daikon, a Kyoto heirloom radish that, despite being a daikon, has a shape resembling a small turnip. Because it contains very little moisture, it was traditionally valued as a condiment for soba.

