海老芋

京野菜【海老芋】プロ農家が教える栽培のポイント(8月④芽ぞろえは必要なし)

 プロ農家が実践している時期ごとの栽培管理について紹介します。今回は、8月に推奨されている意味不明の謎技術「芽ぞろえ」についてです。(海老芋59)

謎技術「芽ぞろえ」とは

 これまで栽培暦の目標などで「秀」の数を5つと書いてきましたが、これは「ウハウハに儲かる子芋は1株当り5つの収獲を目指しましょう」であり「収獲する子芋の数を5つにしましょうというわけではない」ことに注意してください。
 絶対1200円/kg以上の値が付く「秀・4L」を5つ収獲するということは、これだけで単収120万円行きますから。

 しかし、1株からは6つ以上の子芋が取れます。栽培暦どおり作っていると初期生育が良いので、子芋の芽はたくさん出てきますからね。でも栽培暦では「それは無視する」と書いてあるので、以前は気にしていませんでした。

 ところが、ここで謎技術が生まれてしまいました。それが「6つ目以降の芋は5つ目までの芋の肥大を抑制するので切除する」という理由から推奨されている「子芋の芽を最初に出た5本のみにして肥大を集中させましょう」という「芽ぞろえ」です。

 「なるほどね」と思ってしまいそうですが、本当に「儲かる子芋の肥大を抑制」するのでしょうか。言っている方は、ちゃんと調査してから言いだしたのですかね。
 「芽ぞろえ」を行わない対象区を設けて、実施した試験区のデータと比較していっている思えませんけど。

 どうして、最近のトレンドにケチをつけるのかというと、慣行栽培の収穫株を見た時、5つ目までの子芋は「どれも立派に肥大して3L以上」で、6つ目以降の子芋は「どれも小さく、形はセミか超細い長」だからです。
 「芽ぞろえ」が有効なら、行っていない慣行栽培の子芋は貧弱な2L以下のものばかりになりませんかね。
 ところが、この理由は、実は簡単なことなのです。

 まず、なぜ5つ目までの子芋が良く肥大するのかというと、7月末までに立ち上がった子茎が5本で、その5本にしっかり土寄せを行っているからです。
 8月~9月の2か月間を有効に使い、肥大とくに肩の張りを確保しているので、大きく形の良い子芋になるわけです。

 次に、6つ目以降の子芋がなぜ小さいのかというと、8月から実施する「摘葉」により親芋の勢いが大きく減じられるため、地上部が貧弱なのに親芋からの栄養供給が絶たれてしまうからです。
 さらに、5つ目までの地上部が大きく繁茂するため、後から出てきた芽には光が届かなくなるからです。
 こんな劣悪な環境を与えられてしまうので、6つ目以降の子芋の生育は著しく阻害されてしまうわけです。「芽ぞろえ」を推奨する方は「摘葉」も推奨していますから、いわゆるブーメランというやつですね。

 付け足しとして、セミや超細長になるのかというと、親芋の上半分から出てくる子芋は「セミになりやすい」からです。
 また、超細長になるのは「遅すぎる土寄せにより伸びるだけで力尽きた」か「親茎を埋めるのだという土寄せに対するかん違いにより10月まで伸び続けた」からでしょう。

 また、「芽ぞろえ」を行っている現場を見た時、なんと「孫芋の芽」を抜いている方がいました。
それって「こえびちゃん」ですよ。
 多分「遅く出てきた子芋の芽」と「早く出てきた孫芋の芽」の区別がつきにくかったのでしょう。後で話を聞いてみたら「今年は子芋は良いんだけど孫芋の付きが悪かったなあ」。

 真夏に熱中症リスクをおかしてまで、せっせと土中にある芋の付け根から引っこ抜く過酷な作業は狂っているとしか思えません。
 無駄なだけではなく危険なので、「芽ぞろえ」やっている方はもうやめませんか。

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