プロ農家が実践している時期ごとの栽培管理について紹介します。今回は、出荷時の作業について具体的に説明します。(海老芋70)

収獲した芋は、調製・荒選別した後に、出荷まで仮貯蔵します。そして「さすがブランド京野菜」と言われるよう、出荷前に再度調製を行います。
茎周りを再度調製する
すでに芋の肌は綺麗にしてあるので、この仕上調整では茎の肩や首回りを見栄え良くします。
①外側の葉柄をむき、芋に残す葉柄を細くする。
ただし、全てむくのではなく、切り口が残るようにむき「肩の張りを強調」する。
②出荷箱に詰める直前に再度切除し、長さを1cmに切り戻す。
葉柄の断面は、時間の経過とともに褐変するため「褐変面を最小面積」にする。
*参考:京都産の磨き方教えます
見栄え良く箱詰めする
せっかく芋を綺麗にしても、箱を開けた時の印象が悪いと、単価に悪影響が出てしまいます。人間だもの。
①芋は、横に寝かし、段ごとに向きをそろえて並べる。
縞模様が見えて、一目で海老芋とわかるよう箱に詰める。
海老芋は縞が見えてこそ海老に見える。縦詰めでは縞が見えない。
②芋の曲がりは下に向け、刺し込むように詰めることで「芋が真っ直ぐに見える」ようにする。
「海老反りが目立つよう」横倒しにするのは、平成前期の詰め方なので今風に変更する。
③段ごとに(せめて最上段だけでも)、芋の大きさをそろえて詰める。
せっかく綺麗に並べても、芋がそろっていないと第一印象が下がる。
1つの箱の中で、大きさがまちまちだと、安っぽく見られてしまう。
階級(重さ)が規格内だと主張しても、単価に響くようでは個人の意見でしかない。


*困った出荷箱と階級について
下の写真は、芋が大きすぎて出荷箱が膨らんでしまっている状況です。京都府のブランド出荷用は5kg箱なのですが、4Lになり難い在来系統を出荷していた時に作ったため、4Lが多く取れる「京都えびいも2号」を詰めると、肩の肥大に優れるため箱の高さが低く、芋が飛び出てしまうのです。
一番上の箱は18個入り(京都では入り数を追記するのがお約束)ですから、5000÷18で1個平均278gの4Lを優に超える芋が入っています。
この箱を見たら、肩の太りの良い芋が入っているので「買い」なのですが、箱の状態では悪く見えてしまいます。
もういい加減、出荷箱を作り変えてほしいものです。
一番上の箱に比べ、下の2箱は膨らみが弱いですが、これはこれで困ったことです。というのは、真ん中の箱は1個平均385g、下の箱は333gで、スーパーでは見ることがあまりない立派な芋が入っており、そのため入り数が少ないのです。
ところが、出荷規格の階級が4L(250g以上)までしかないため、その立派さをアピールすることができません。250gを超えた芋は同じ扱いになってしまいます。
せっかく他県にはない独自の多収品種を持っていても、その「よそとは違う巨大さ」による差別化ができないのです。品評会の上位農家は700gを超える巨大芋を取ることがありますが、入り数が少ないため箱の中で収まりが悪く、出荷せずに収穫祭の品評会行きなんてこともあります。
もういい加減、等級を増やしてほしいものです。

出荷規格を順守する
下の表のように、京都府の出荷規格が決まっています。2種類ありますが、2つ目は近郷野菜とはレベルの違う「ブランド出荷規格」です。
詳しい説明は、下のリンク先の記事に書いていますので、そちらをご覧ください。
*参考:京都府産の出荷規格は2種類あります


疑わしい時は等級を下げる
次の3枚の画像は、秀にしたいけれど「等級を下げた方がよい」事例です。他県の産地によっては「まあいいじゃない、大きいし」「そんなこと言ってたら秀なんてないよ」ということで「秀」にしている場合もありますが、京都産として出荷するなら、こんな感じの芋はランクを下げてくださいね。等級はちゃんとした理由でもうけられていますから。
なお、なぜこんな芋がたくさん取れたのかについては、テキストで説明するとややこしくなるので、栽培研修会に行って、行くだけではなく学んだことは「実行」してください。「でも、わしはこう思う」が一番の原因だったりします。
①⇒丸
短いので「丸」にしましょう。長さが肩の張りの2倍以上ないと「秀」とは言いにくいです。肩が張っている部分が美味しいところですが、芋が短いとどこまで美味しいのかわかりづらくなります。

②⇒長
長くても肩が張っていないので「長」にしましょう。美味しい肩の部分が少ないので、食材として歩留まりが悪くなります。中間部分で徒長している所は、おいしさのランクが落ちます。

③⇒規格外
さすがに「秀」とする人は少ないでしょう。しかし、規格品に当てはめて「長」にしたくなりますが、細すぎるので「出荷外品」扱いが良いでしょう。
②より徒長部分が多いので、美味しい部分はほとんどありません。

*記事をもっと読みたい方は⇒https://qyasai.com/summary-article/
Growing Kyoto’s Traditional Ebi-imo Taro: Tips from Professional Farmers (October Part 4: Harvesting and Shipping)
After harvest, the taro undergoes preparation and preliminary grading before being placed in temporary storage until shipment. To maintain the high quality expected of Kyoto’s renowned branded vegetables, it is carefully prepared once again prior to shipment.

