9月に入って、いきなり気温の低下が起こりました。この傾向はずっと続き、もう夏には戻りそうもありません。ここで気になるのが、2021年頃に発生した品質低下が再び起こるのでは、ということです。(海老芋63)

猛暑は友達
京都府での数値になりますが、今年の気温の変化が2021年頃に発生した「急な秋の訪れ」に似てきています。
2021年の気温(半旬・日最高)は、8月は猛暑連発でしたが、9月に入ると急に気温が低下したのです。
*参考:京都(京都府) 2021年(半旬ごとの値)(気象庁)
残暑が厳しいより、「最後の土寄せ」や「親茎切除跡に土乗せ」の作業がとても楽になります。そして、作業が順調に行えたことで豊作・高品質感が高まり、収穫をとても楽しみにしておられる農家が多かったようです。
しかし、収穫してみてびっくり、肩の張りが悪く「長」ばかりになったり、子芋が小ぶりで4Lがなかったりしたのです。
なので、その年の反省会では専門家も交えた原因究明が盛んに行われました。そして、定説となったのが「猛暑による乾燥害で品質・収量低下」説です。
「何言ってるんでしょう」このブログを読んでいただいている方にはわかっていただけると思いますが「猛暑の年は豊作」のはずですよね。
で、話を聞いてみたら、猛暑厳しい年なのに「水利の悪い圃場なので潅水できなかった」や「間隔を開けてたっぷり潅水した」や「トラクターをいれるために圃場乾燥そして省力化」なんてことをしていました。
そんなことをしては、生育破綻レベルのとんでもない乾燥害が起こるのは当たり前です。しかも人為的に起こすわけなので、圃場全体で発生させてしまいます。
なので、同じ京都府内でも「伝統技術=8月にたっぷり潅水」を励行していた丹後地域では不作になりませんでした。やっぱり、水さえ吸わせてやればサトイモにとって猛暑は友達なのです。
最近の猛暑と言えば2023年と2024年がひどかったです。しかし、これらの年も京都府内の出来は2021年同様に散々だったようですが、潅水に力を入れていた丹後地域ではウハウハの豊作で、しかも秀の肩がパンパンに張りました。
そのため反省会の話題に「入り数が少なく箱当たりの単価が下がるのは気分が良くないので、4L規格(250g以上)の上に5Lを作ってほしい」や「長さは肩の張りの2倍以上を自主規格で行っているが、肩が張り過ぎたため長さが足りず丸になった」などの、良すぎて困ったと言う意見が出たほどです。
しかし、たくさん話を聞いていく中で、丹後以外でも「毎日うね間潅水」をしている方がたくさんおられたのですが、その方も「悪かった」というのです。
ということは、乾燥害以外で今回の不作の原因となるものがあるわけです。
涼しい秋が肥大を減速
それは「残暑への依存度」です。海老芋は「土寄せ終了後の子芋肥大」で仕上げますが、その時期を「8月下旬から9月が重点」とすることが、今回の問題を引き起こしたと考えます。
その、なぜか広まってしまった謎の土寄せ方法では「残暑の高温で肥大させようとする」のです。具体的に言うと「第3回土寄せが8月中旬、第4回土寄せが9月初旬」というやり方です。
・・・ちょっと待ってください、残暑が早めに終わって涼しくなり、さらに秋雨前線が停滞したらどうなりますか。
そうなると、期待していたより早く芋の肥大が止まります。子芋が伸びて「これから肩を張らせるぞ」と言う時に待ったがかかるわけです。
そうです、謎土寄せを行った圃場では、「9月の涼しさによる子芋の肥大への影響」が「長ばかり」や「子芋が小ぶり」の原因となったのです。
「長になる」のと「小ぶりになる」のは「土寄せの遅さの違い」によるものでしょう。
「長ばかりになった」原因は、「8月下旬に」土寄せを終了した時に起こります。子芋が伸びるだけの時間は得られたものの、涼しくなって「肩を張る時間がなかった」ためです。(下の写真)

「小ぶりになった」原因は、「9月に入ってから」土寄せを終了した時に起こります。涼しくなったため茎が白化しただけで子芋が伸びることさえできず「前回の土寄せまでの長さしか芋になれなかった」から小さいのです。(下の写真)

なお、伝統技術の方では「8月と9月の2ケ月で肥大させる」ため、猛暑により8月中に地際部まで芋が伸び、9月の残暑により1か月かけて肩を張らせます。
なので、丹後の事例のように「大きくなりすぎて、肩が張り過ぎる」なんてことにもなります。(現在は子芋を長めに作ることで対策済)
“Kyoto heirloom vegetables: Taro farmers in trouble as autumn suddenly arrives”
With the arrival of September, temperatures dropped suddenly. This trend is expected to continue, and it looks like summer will not be returning. What concerns us now is whether the quality drop we experienced around 2021 might happen again.

